韓国の本家の長男の嫁の想像を絶する苦労
韓国の宗家の長男の嫁
チュソクが終わってすっかり秋が深まった感のある今日この頃です。朝晩は気温が一桁まで下がり、コートがないと寒いです。
ところで、韓国では結婚相手としては長男が嫌われることはご存じでしょうか。
特に宗家(종가チョンガ:本家のこと)の跡取り息子は殊更忌避されます。それもそのはず、そのお嫁さんの苦労は並大抵ではないからです。
先週会った知り合いの女性に何気なくチュソクはどうでしたか?と聞いたのですが、なんとその後1時間も苦労話をとうとうと語られてしまいました。
そうです、彼女こそが宗家の跡取りの嫁、宗婦(종부チョンブ)だったのです。
80人~100人の来客の接待
儒教の国韓国ではご先祖様をとても大切にしています。
旧盆や旧正月には、ご先祖様のために大きな長机(차례상チャレサンという)の上の奥中央に位牌(지방チバン:ご先祖様の職位と名前が書かれている)、ろうそくを両端に置き、その手前にお供え用の器一つ一つにいっぱいの食べ物(何をどれくらい備えるかは家や地方によって異なりますが、チュソクならソンピョン、ソルナルならトックッが中心に来ます)を女性が準備して並べてお供えし、手前の小さな机にはお線香とお酒とおちょこ、台の下には注いだお酒をこぼす器などを準備し、一族の男性らが丁寧な韓国式のお辞儀をしたりお酒をお備えしたりしてお迎えする儀式をします。
このチャレサンを準備するのが宗家の嫁の役割なのです。
一族は続々と訪問して来るので、たいていは食事をふるまいます。家によって地方によって、どれほどの範囲の子孫が集まるかはまちまちでしょうが、彼女の嫁いだ家にはおじいさまの兄弟の子孫まで来るので、その人数が少ない時でも80人ほど、多いと100人にも上るというから驚きです。ほとんど食堂です。しかも、遠方から訪れた人たちは泊っていくとうのですから、3食に寝具などの世話までせねばならずさらに大変です。
彼女のご主人には弟さんがいますが、アメリカ在住なのでいつもお義母様と彼女の二人でほとんど準備するそうです。食材の買い出しだけでも大変で数日前から市場までを何往復もして食材を買ってきて、ひたすら準備をするのだそうです。しかもこのお義母様が彼女に厳しい人なのだそうで、自分の時代はもっと大変だったというスタンス。日本にもいそうですね。
1年に何回一族が集まる?
問題はその頻度です。
まず基本的に名節といわれるソルナル(旧正月)とチュソク(旧盆)はどこの家も集まります。それ以外にご先祖の命日にもチェサ(제사)というのがあって、上に書いたのと同じようにするのですが、それが彼女の家では年に5回もあるそうです。これでも彼女が嫁いできてから減らしたのだそうです。
韓国では亡くなったご先祖様だけではなく両親も大切にするので、両親のお誕生日には必ず集まり、食事を共にしてプレゼントなどをしますし、5月にあるオボイナル(父母の日)にも同じように集まって食事をし、プレゼントをします。
数えたら1年に10回も義実家に行って働くことになりますね。
しかも費用の負担もほとんど彼女の家にかかってくるそうで、そのせいでお金がたまらないと嘆いていました。
国際結婚をする前に
本家の長男の嫁は大変というのは韓国では常識ですが、外国人は知らずに結婚したりするせいか、日本人の友人の中にも本家の長男に嫁いだ人がいます。彼女もいつも一人でものすごくたくさんの料理を作って頑張っています。今結婚を考えている韓国人の彼氏がいる人は、その点も十分に考慮して、どんな規模・頻度でこういう習わしを行っている家庭なのか確認しておいたほうが後々後悔しないと思います。
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