韓国のカフェ市場急成長の要因について考える
世界第3位の韓国のコーヒーショップの市場規模
韓国のコーヒーショップの市場規模が、なんと世界3位になったことが、先月、ユーロモニターインターナショナル(Euromonitor International)の調べ(2007年~2018年の市場を分析)で分かったと発表されました。
1位は断トツでアメリカの261億ドル、2位は中国の51億ドル、そして3位が韓国の43億ドルです。
日本はというと、4位で40億ドル、イギリスが続く5位で33億ドル、オーストラリアが6位で18億ドル、カナダが7位で17億ドルです。
これは人口で割っていない金額なので、人口が5181万人しかいない韓国人が3位というのはすごいことなのです。一人当たりで計算すると、世界第一位となります。韓国に住んでいると実感としてわかるのですが、どれだけコーヒー好きなんだ韓国人というくらい、カフェ文化が浸透しています。
10年前との比較
韓国に昔からカフェがこんなにあったわけではありません。中央日報の記事で10年前と比較したグラフが載っていました。それをみると中国と韓国が当時はとても低かったことが分かります。
各国のコーヒーショップの市場規模
(単位:億ドル)
2007年 | 2018年 | |
アメリカ | 147 | 261 |
中国 | 3 | 51 |
韓国 | 6 | 43 |
日本 | 32 | 40 |
イギリス | 15 | 33 |
オーストラリア | 11 | 18 |
カナダ | 13 | 17 |
イスラエル | 6 | 11 |
ベトナム | 2 | 10 |
ドイツ | 5 | 9 |
ちょうどこの時期中国に行っていた知人が言っていたことを思い出しました。中国はお茶の文化だからカフェがぜんぜんないと初めのころはぼやいていたのに、数年後に会ったときはものすごい勢いでカフェができたと言っていたのです。
韓国も中国より少し早くカフェのブームが到来しました。
なぜカフェが韓国で受け入れられたのか
食後の嗜好品の代表だったミックスコーヒー
もともと韓国では食後にコーヒーを飲むことが普通に行われていました。それは特にコーヒーが好きだからというよりは、飲食店のサービスの一環として、無料で飲めるインスタントのミックスコーヒーをお茶のティーバッグとセットでどこの店にも置いたことが大きかったのではないかと思います。もともとウォーターサーバーを設置してある店が多かったためか、このサービスは飲食店だけではなく、個人病院や歯科などでも取り入れられていました。
こうして食後にコーヒーという文化が出来上がっていた韓国ですが、コーヒーと言っても甘いミックスコーヒーや、薄いお茶のようなウォンドゥコーピーと言われるストレートコーヒーばかりで、カフェは当時(十数年前)まだありませんでした。
おごりおごられる韓国文化
一方で、韓国では割り勘を嫌う文化が根強くあります。持ちつ持たれつの精神なのでしょう。割り勘はけち臭いイメージがあってたいていは誰かが代表して一緒に食事した全員分をおごります。年長者がおごることが多いですが、それでも負担が偏りすぎると思えば、「今日は私が!」「いや、今日は私が!」と、自ら払う人が現れて順番に回っていったりします。
同じメンバーで何度も食事に行く場合はこのようにローテーションすれば簡単なのですが、一度だけ食事会があったり、次回がいつになるかわからない場合、おごられっぱなしでは悪いなという気持ちは誰でも起こるのは自然なことですよね。そこへカフェが現れたのです。食事が終わったら、「カフェに場所を変えてもう少し話しましょう、今度は私がおごります。」とスムーズに言えるわけです。
こんな韓国の文化にがっちりはまったのがカフェだったのではないでしょうか。カフェはおしゃれで高級感があって雰囲気もよく、若者や女性の志向にもピッタリであったということなのでしょう。
このように大人数で食後に当然のコースのようにカフェに行くわけですから、市場規模は膨れ上がって当然かもしれません。
カフェで勉強する人たち
韓国には俗語で카공족カゴンジョkという言葉があります。これは「カフェ(카페カペ)で勉強(공부コンブ)する人たち(족ジョk:族)」を意味しています。図書館では静かすぎて集中できないという人や、図書館は満席で席がないという不便さが嫌な人、グループ課題のために集まって話し合う必要がある人たちや、スタディーグループなどの勉強会、ノートブックパソコンでインターネット講義を聞く人たちなどにとって、カフェは、コーヒー一杯買えば、冷暖房の整った居心地のいい空間に何時間でもいられるうえ、フリーwifiも完備、コンセントも使い放題とあって、人気が出たのです。
カフェによってはスタディグループ用の個室を予約制で使えるところもあれば、月定額制で使い放題のところもあります。
勉強と言っても大学生に限らず、中学生から主婦や会社員まで、幅広い層の人たちがカフェを勉強や集まりやミーティングの場所として利用するようになりました。かくいう私も、カフェではPTAの非公式ミーティングやら、教会の毎週の集まりやら、英語の個人レッスンやら、日本語の個人レッスンやらいろいろ経験ありです。
こんなカゴン族の人たちによる需要もあって韓国のカフェ市場はここまで急成長を遂げることができたのでしょう。
韓国で展開するカフェチェーン
カフェチェーンと言えば今や世界的に有名になったスターバックスがすぐに思い浮かびますが、ここ韓国でも市場占有率の1位はスターバックス 스타벅스(26.8%, 2017)です。2位は韓国のイディヤ 이디야(10.4%), 続いてロッテ系列のエンジェリナス엔제리너스とトゥソムプレイス투썸플레이스(ともに5.3%),コーヒービーン 커피빈(4.8% ) という順になっています。
上位5位までのカフェチェーン店が韓国全体のカフェ市場の約半数を占めています。やはりチェーン店は強いですね。
韓国観光でカフェ巡りを
カフェと言ってもそのメニューは多様で、たとえコーヒーが嫌いでも飲むものに困ることはめったにありません。
おなかがすけば、サンドイッチやケーキやフレンチトーストなどの食べ物もあることが多いです。
フリーwifiはパスワード(비밀번호ピミlボノ)がたいていカウンターなどに貼ってあるのでそれを入力するだけでつながります。
各テーブルごとにコンセントを備えているカフェもあります。
空いていれば予約なし(もちろん追加料金なし)で個室が使えることもあります。
長時間滞在したり、大人数で行ったりすると、サービスでリフィルを出してくれたり食べ物を出してくれる店もあります。
こんないいこと尽くしのカフェ、行かないわけにはいきませんね。これからの韓国旅行にはカフェ巡りも入れてみてはどうでしょうか?!
参考:‘카공족’ 붐비는 카페…한국 커피숍 매출 세계 3위[중앙일보] 2019.03.18
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