【韓国生活】レジ打ちが座るなんてけしからん!はもう古い - True Vine

【韓国生活】レジ打ちが座るなんてけしからん!はもう古い

韓国のレジの店員は椅子に座っているのか?

子どもがバイトをしたいというので、簡単そうに見えてもレジの人も立ちっぱなしで大変なんだよ、と言ってから、ふと気が付きました。

あれ?韓国では立ちっぱなしじゃないよね…?

椅子があったはず。

でも昔は立っている場合が多かった記憶が…。

逆に日本ではなんで立ちっぱなしなのかな?

そこでちょっと調べてみました。

 

韓国のマートのレジ係の椅子の導入時期は?

韓国の過去のニュースをさかのぼってみると、いろいろありました。

2009年3月のアジア経済の記事の見出しは『大型マート、レジに椅子を備え付ける』です。

この記事には「ロッテマート、ホームプラスなど、韓国内の主要な大型マートの各店舗のレジに椅子の備え付けが完了した」とあり、イーマートも順次椅子を導入していく予定とあります。

2008年から一部店舗でレジに椅子を試験的に導入し始めて、2009年に全店舗で導入が完了したようです。

 

韓国のマートのレジに椅子が導入された経緯は?

当時、レジ係の店員たちは一日に9~11時間も立ちっぱなしで働いていました。

そのせいで足の疲労、むくみ、痛み、下肢静脈瘤、腰痛などの筋骨格系の疾患に無防備にさらされていました。

2,3時間おきに休息をとるよう勤労指針に定められてはいましたが、金両社の健康保護には不十分だという指摘が提起されました。

これを受けて2008年8月28日、労働部(政府機関)は立って働く勤労者の健康保護の対策を発表しました。

これにより、2008年10月からデパートやマートなどの事業者に、従業員が座れる椅子を配備するよう行政指導と監督が行われました。

(参考記事:ミニトゥデイ2008年9月2日の記事『大型マートメインレジに椅子全面導入』

 

イーマートがレジの椅子を全面交換した理由

調べていると、ふと2018年の記事に目が留まりました。

ハンギョレ新聞の『イーマート、無用の長物という指摘を受けてきたレジの椅子を交換』という記事です。

え~!イーマートのレジの椅子は、10年間も無用の長物、つまり役立たず、あっても意味がないものだったというのでしょうか?

この記事によると、レジの台は高いのに椅子が低い上に、お客さんの目も気になって、店員たちは事実上、ずっと立って働くほかない環境だったというのです。

それでイーマート側は、2018年の7月16日から、順次全国のイーマートとトレイダースの全店舗のレジの椅子を新型に変えると発表しました。

新型の椅子は、高さが77㎝で旧型の椅子(65㎝)よりも20%高くなり、背もたれの長さも、23㎝だったものが新型では37㎝と60%広くなりました

高さは、お会計業務をするときも常に座ったままでできるように、背もたれは、お客さんがいないときレジの店員が楽にもたれて休むことができ、後ろをお客さんのカートが通るとき、店員の背中に当たってけがをすることがないようにという配慮によるものです。

イーマートはこの椅子の交換に、2億5千万ウォン(約3500個の椅子)を投入したということです。(1ウォンは0.095円。2021年2月23日現在)

この背景には、韓国で「週52時間勤労制」が2018年7月から大企業や官公庁を皮切りに順次施行されることになり、社会的にワークライフバランス(韓国では縮めてウォラベル)という考え方が広まり、労働者を保護するという考え方が定着していったことがあげられると思います。

 

レジに椅子があるほうが海外ではスタンダード

上記記事では大型マートなどにしか触れていませんが、それ以前から入店しているショップやコンビニなどではカウンター内に椅子が置かれていることが多かったです。

昔韓国のコンビニに入ったら店員が椅子にどーんと座ってテレビを見ていてカルチャーショックを受けた覚えがあります。

話し方もぶっきらぼうで、ここではお客様は神様じゃないんだなあ、普通に対等な人間なんだなあと、気づかされました。

レジの話に戻りましょう。

調べてみたら、日本でもディズニーの店内やイケアなどの外資系企業では座ってレジを打っているようです。

どうやらイギリス、ドイツ、スペイン、フランスなどのヨーロッパや、ブラジルなどの南米もレジ打ちは座って行うのが普通のようです。

一方でアメリカやカナダでは日本と同じく立ってレジを打っているところもままあるようです。

そういえば、コストコの店員さんは外資系でも立ってレジを打っていますね。

韓国のコストコのレジの様子

韓国のコストコのレジの様子

でも、大部分の日本のスーパーなどには椅子はなく、レジの人は立ちっぱなしです。

なぜでしょうか?

 

レジ係が立っている理由

やはり、お客様への礼儀として店員は立っていないと失礼だという認識があることが大きいのではないかと思います。

私は全くそんな風には感じないのですが、日本ではそう感じる人も一定数いるようです。

会社などで立場が弱くても、買い物に行った時くらいは優位な立場で接されたい、お客様として厚遇を受けたいという欲求があるのかもしれません。

または、社会人たるもの仕事でお金をもらうからには、立っていると疲れるとか甘っちょろいことを言っていたら失格だ!という考えもあると思います。

 

店員が座っていると怠けていると感じるという話もあります。

そんなだらけた店で買い物して気持ちいいわけがないという人もいます。

 

店員の身になって考えれば、店員だって人間なのですから毎日何時間も立っていては無駄に疲れますし、上に書いたようないろいろな体の不調が出るでしょう。

お客がいないときに店員が座っているからと言ってそれほど責められることだとは私は思いません。

 

でも、実際に日本でレジ係を座らせたら、抗議の電話が来るなんて話も聞きます。

私はこのような人の痛みや苦しみに思いを馳せられない思いやりのない社会は悲しいなと思います。

確かにしゃんと立って働いていたほうが、楽に腰かけて働いている人より見た時の印象はいいかもしれませんが、それと引き換えに店員さんがむくみや腰痛や静脈瘤に悩まされ健康を害していると知っても立っていろと要求できますか?

店員さんは若くて健康な人ばかりではありません。

レジを座ってすることが社会的に容認できれば、例えば車いすの人だって躊躇なくレジで働けますね。

 

日本のレジ係は大変

韓国のレジと日本のレジでもう一つ大きく異なっている点があります。

それは、客の役割です。

韓国では客が自分でカートから商品を一つ一つ取り出して全部レジのベルトコンベアの上に置かないといけません。(10㎏もあるお米のような大きいものや重いものはカートに乗せたままで大丈夫です。)

前後のお客さんの買ったものと混ざらないように仕切りの棒も自分で置きます。

ベルトコンベアが短くて全部置けない場合は、流れ作業のように店員さんが計算を済ませてコンベアを動かしたところへどんどん置いていくということになります。

客もなかなか忙しいです。

日本では、かごをレジの前に置くだけでいいですからお客さんは楽ですね。

(韓国でも小さいスーパーなどかごのままおいても計算してもらえるところもあります。)

 

韓国の店員さんは、ピッピッとバーコードを読んでレジの反対側に商品を置くので、またこちら側でも客が自分で商品を回収しないといけません。

とりあえずカートにまた戻すか、持ってきた買い物袋に入れることになります。有料の買い物袋やごみ袋を買ってそこに入れてもいいですが、とにかくこれも全部客の仕事です。

せっせと商品を袋に入れているとすべてバーコードの読み込みが終わった店員さんがお会計はいくらいくらですと待っているので、たいていあたふたと財布を取り出すことになります。

クレジットカードもカードリーダーに客が自分で差し込んでサインをする場合も多いです。

 

久しぶりに日本に帰省した時、あるスーパーで買い物をしたら、持参したマイバッグに店員さんが商品を袋詰めしてくれて、恐縮というか驚きというか、逆異文化ギャップを受けました。

袋詰めをしてみればわかりますが、スーパーで買う商品は重さもサイズも不揃いで、つぶされやすいもの、冷たい物などいろいろ混ざっているため頭を使って詰める順序を考えなければならず、意外と簡単ではありません。店員さんには頭の下がる思いでした。

 

このように店員がかごから商品を取り出して袋詰めするという一連の仕事をするためには、確かに座っていては高さも足りず、動きが阻害されて不便かもしれません。

座ったまま働くにはやはり椅子の位置を高く設置する必要があるでしょうし、お客さんにも役割分担をしてもらえたほうがスムーズでしょう。

 

ただ、私見ですが、このコロナのご時世には、こんな袋詰めまでしてくれるサービスは怖く感じてしまいます。

それぐらい客が自分でしたほうがいいと思います。(もちろん体の不自由な方などにはお手伝いするのは当然です。)

 

この記事を書きながら、韓国のロッテマートで初めてレジに椅子が設置されたのを発見した時のことを思い出しました。

夫に「日本もレジの人が座れるようにしてあげたらいいのに!」と感動しながら話した記憶があります。

今もその考えは変わっていません。

日本はもっと柔軟さを取り入れて変わっていくべきだと思います。

このコロナ禍は災いには違いありませんが、日本のような頭の固い社会に無理にでも変化を起こすチャンスでもあるといえます。

日本が世界から取り残されないよう、変化を恐れず合理的思考で良い新しいものを取り入れる寛容さを持つことを期待しています。

 

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