韓国の複数国籍者の兵役義務~日韓国際結婚家庭の問題
複数国籍者と韓国の徴兵制
国民を兵士として徴集し、兵役の義務を課す徴兵制は、冷戦後、世界的には廃止や縮小の方向に向かっています。
しかし、韓国では国民全員に義務を課す一般徴兵が行われています。
大韓民国国民である男子は憲法と兵役法により兵役義務があるのです。
これは1950年に勃発した朝鮮戦争が1953年に休戦協定を結びはしたもののまだ正式な終戦に至っていないからです。
韓国の兵役の概要
韓国の兵役は18歳の男子への徴兵検査によって判定され、1-3級までが現役、4級は社会服務要員、5級は戦時勤労役、6級は兵役免除、7級は再検査とされています。
兵役の期間はまちまちですが、例えば現役兵では、陸軍、海兵隊は21か月、海軍は23か月、空軍は24か月となっています。
(2018年10月1日に転役つまり一旦除隊する人から兵服務期間が徐々に段階的に短縮されることが決まりました。陸軍・海兵隊などは21か月⇒18か月(-3か月)、海軍などは23か月⇒20か月(-3か月)、空軍は24か月⇒22か月(-2か月)となります。陸軍の場合、2週単位で1日短縮です。なので計算すると、2020年6月15日に入隊する人からは90日の短縮となります。)
日韓国際結婚家庭の子どもの場合
日本人と韓国人の国際結婚家庭に生まれて、先天的に日本と韓国の二重国籍者となっている子にも、男の子ならば、韓国の国籍から離脱しない限り兵役義務はあります。
この、韓国の兵役義務の問題は、これから韓国人と国際結婚しようと思っている人、すでに国際結婚して、男の子が生まれた人には、避けて通れない問題なのです。
「片親は日本人なのに息子を軍隊に行かせなければならないの?!」という疑問から、行かなくて済む方法はないか調べてみました。
韓国籍からの離脱は条件が厳しく難しい!
兵役義務は韓国籍を持っている男子に対して課せられるわけですから、韓国籍を抜いてしまえば義務もなくなるのですが、それがそう簡単ではありません。
前回の記事で書いた通り、韓国の国籍からの離脱は、兵役逃れを防止するために難しくなっているのです。
アメリカに行って遠征出産を行って子供にアメリカ国籍を取得させて、韓国籍を離脱してしまう事例が多発したためです。
韓国籍から離脱するためには、年齢的な条件と、居住地の条件を両方ともクリアしている必要があります。
日本側に国籍選択の届出をして、「日本の国籍を選択します!」と宣言したとしても、現在韓国は、日本への国籍選択の届出だけでは韓国国籍を放棄・離脱したとは認めてくれないので注意が必要です。つまり、韓国側でちゃんと国籍を抜いてもらう必要があるのです。
韓国籍放棄の年齢的条件
複数国籍者である男子は18歳になる年の3月末までに一つの国籍を選択しなければならず、その期間内に国籍を離脱しなかった人は兵役義務があります。
韓国籍放棄の居住地の条件
韓国国外に居住している先天的複数国籍者は、満18歳になる年の3月末まで居住する場所の在外公館を通じて国籍離脱の申告をすることができますが、そうでない場合は、兵役を終えるか兵役免除(第2国民役を含む)を受けない限り、37歳(1979年以前に生まれた者は35歳)まで国籍離脱が制限されます(国籍法第12条第2項)。
つまり、韓国内に居住していたら、韓国籍の離脱は兵役を終えるか、兵役免除を受けない限り不可能なのです。
ですから、もしも軍隊に徴兵される前に韓国籍を離脱する予定なら、満18歳になる年の3月末までのうちに日本か第3国に住んで、国籍離脱を済ませておかなければなりません。
18歳までに韓国籍を離脱できなかった場合は?
男子が18歳になる年の3月までに韓国籍を離脱できなかった場合は、すぐには韓国籍を離脱することができなくなりますから、あきらめて軍隊に行くか、海外に移住することになります。
外国に居住する複数国籍者は次のような要件を満たしていれば37歳まで兵役を延期することができるからです。
- 外国の永住権や市民権を持つ父または母と一緒に国外で継続して居住する者。
- 両親と一緒に24歳以前から国外で継続して居住する者。
- 国外で10年以上継続して居住している者。
24才以下の兵役義務者は、兵務庁の許可がなくても24才まで海外に滞在することができます。
しかし、25才以降も続けて海外に滞在する場合、たとえ37才まで「父母とともに海外に居住する多重国籍者」として兵役判定検査を延期したとしても、24歳から25歳になる年の1月15日までの間に在外公館を通して「国外移住」事由で国外旅行許可を受けなければなりません。
◆ 37歳までの兵役延長期間中には、1年のうち通算6か月以上韓国に滞留したり、就業するなどの営利活動をすると、国外旅行許可が取り消されて兵役義務が付加されてしまいます。
◆ 37歳までの兵役延長期間中に韓国内の教育機関で学業を修めることは可能ですが、その場合はその期間中は、親または配偶者が外国にいる必要があり、もし親または配偶者が1年のうち通算6か月以上韓国に居住すると兵役義務が付加されます。
このようにして37歳まで兵役を延期し、38歳になると第2国民役に編入され、晴れて、現役兵入営などの義務が免除されます。
「国外旅行期間延長許可申請」の申請に必要な書類
(旅券の申し込みも同時に行うこと)
<家族滞在の場合>
- 国外滞在期間延長許可願書
- 家族居住事実確認書
- 住民票(市・区役所発行) 1部
- 家族関係証明書 1部
- 旅券コピー
<留学の場合>
- 国外滞在期間延長許可願書
- 在学事実確認書 1部
- 在学証明書(但し、入学が許可された場合は許可書 )
- 住民票(市・区役所発行) 1部
- 旅券コピー
書式は兵務庁のサイトからダウンロードできます。
(出典:駐札幌大韓民国総領事館ホームページより)
(参考)在外国民2世の場合
日本出生者及び6才以前に出国し、24才になるまで海外に住み続け全家族が永住権を所持している在外国民2世の場合は兵役免除になります。
(参考)全家族永住権取得の場合
6才以後出国し全家族永住権取得の場合、永住帰国時まで兵役義務に関する処分は猶予されます。
以上が今回調べてわかったことです。いろいろ難しいですね。
できるだけ正確を期して書きましたが、もし間違いなどあれば、是非ご一報ください。
(おまけ)職業軍人と女医の恋を描いたおすすめドラマ
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