「金日成の別荘」が韓国にある?!
「金日成の別荘」
金日成(キム・イルソン)といえば、北朝鮮の国父として北朝鮮で神のように称えられる建国者で、金正日(キム・ジョンイル)の父であり、現最高指導者金正恩(キム・ジョンウン)の祖父にあたる人物です。
そんな人物の別荘と呼ばれるところが韓国にあるってご存じですか?
いったいなぜ北朝鮮の指導者の別荘が敵国韓国に??
今回はそこを訪ねてきたので、写真とともにご紹介します。
「花津浦(ファジンポ)の城」別名「金日成の別荘」とは?
韓国の北東、つまり地図の一番右上に、江原道(カンウォンド)高城郡(コソングン)という所があり、その海辺に花津浦(ファジンポ)という汽水湖があります。
「金日成の別荘」はこの花津浦(ファジンポ)のほとりの海を見下ろす高台の中腹にあります。
「金日成の別荘」の正式名称は「花津浦(ファジンポ)の城」(화진포의 성)ですが、別名の「金日成の別荘」(김일성 별장)としてよくしられています。
花津浦(ファジンポ)は素晴らしい景勝地で、すぐ近くには韓国初代大統領の李承晩(イ・スンマン)の別荘や、李承晩の秘書から政治家になりソウル市長や国防長官などを務めた李起鵬(イ・ギブン)の別荘もあります。
実はここは38度線以北にあります。つまり、第二次大戦後、朝鮮戦争勃発以前は北朝鮮の支配下にあったところなのですね。
なるほど、それで金日成の別荘になりえるわけかと納得。
しかし「金日成の別荘」は実は金日成のものだったわけではありません。
1937年に日本の軍部が飛行場を作るため、外国人宣教師を休養地だったウォンサンから強制退去させました。
「花津浦(ファジンポ)の城」、別名「金日成の別荘」は、休養地移転実行委員のシャーウッド・ホール(Sherwood Hall)宣教師が、その際日本から代わりに与えられたこの地に、ドイツから亡命していた建築家ベーバー(H.Weber)に頼んで建てた地下1階、地上2階建ての建物で、宣教師の安息所及び礼拝所として使用されていました。
それを北の共産政権が1948年から1950年まで金日成と共産党幹部の休養地として使ったのです。
その際、金日成一家が夏の休養地として利用していたため、「金日成の別荘」と呼ばれるようになったそうです。
まだ幼かった息子の金正日(キム・ジョンイル)が、建物の前の階段に腰かけて取った記念写真も残っていて、階段にその位置が表示されていました。
当時の建物は、朝鮮戦争によって壊れてしまいましたが、1964年に再建され、1999年以降は安保展示館として使用され、2005年に当時の姿に復元されました。
中は南北分断の歴史や当時を復元した部屋の様子などが展示されていました。
内部に紫水晶が施された暖炉もありました。写真ではわかりにくいですが、中がわずかにキラキラして見えました。
金日成の別荘とはいえそれほど大きくもなく、はっきり言って展示は大したものはありませんでしたが、その自然環境は素晴らしく、窓や屋上からの眺めは本当にきれいで、透き通った海と木々の緑と砂浜が一望できとても贅沢です。
入館料
入場料は「花津浦(ファジンポ)の城」別名「金日成の別荘」と、「李承晩(イ・スンマン)の別荘」、「花津浦(ファジンポ)生態博物館」共通で大人3000ウォン、青少年2300ウォンでした。「李起鵬(イ・ギブン)の別荘」は無料です。すぐ前の砂浜は泳ぐこともできます。透き通った水が印象的なとてもきれいな海でした。
地図
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