【韓国おすすめ最新映画】国家が破産する日(Default,2018)鑑賞後記〜あらすじとレビュー(국가부도의 날)
「国家が破産する日(국가부도의 날:読み方→クッカプドエナル)Default」
(注)この記事の作成当時は邦題が決まっていなかったため直訳で『国家不渡りの日』と書いていましたが、邦題が『国家が破産する日』になったので後日書き改めました。2019年11月8日シネマート新宿を皮切りに順次公開予定!
2018年11月28日韓国公開
2020年1月8日日本公開開始予定(シネマート新宿、シネマート心斎橋)
韓国映画
上映時間:1時間54分
ジャンル:ドラマ
監督:チェ・グッキ 최국희
脚本:オム・ソンミン 엄성민
主なキャスト
キム・ヘス 김혜수 : ハン・シヒョン한시현 役
ユ・アイン 유아인 : ユン・ジョンハク윤정학 役
ホ・ジュノ 허준호 : ガプス갑수 役
チョ・ウジン 조우진 : 財務局次官役
ヴァンサン・カッセル : IMF 総裁役
韓国最新映画、「国家不渡りの日(デフォルト)」あらすじ
2018年11月28日に韓国で公開された韓国映画「国家不渡りの日(국가부도의 날)Default」は公開12日目にして観客動員数270万人を突破するヒットとなっています。(12月15日再度確認したところ336万人を超えています。)
脚本を書いたオム・ソンミンは

「IMF協商当時に非公開で運営された対策チームがあったという記事を見て」脚本を準備するに至った
「IMF協商当時に非公開で運営された対策チームがあったという記事を見て」脚本を準備するに至ったということを語っています。
3人の主人公
これは1997年に韓国で実際に起こった通貨危機を基にして作られた映画で、何とかしてデフォルトを阻止しようとする韓国銀行の女性の通貨政策チーム長ハン・シヒョン한시현 (キム・ヘス김혜수)と、いち早く国家の経済危機を察知して勤めていたノンバンクに辞表を出し、投資家を募って危機をチャンスにしてしまおうとするユン・ジョンハク윤정학(ユ・アイン유아인)と、信用取引先のデパート倒産のあおりを受けて家族と社員を守るために苦しむ町工場経営者のガプス갑수(ホ・ジュノ허준호)の3人を中心にストーリーが並行して進行していきます。
ハン・シヒョン
前年の1996年には韓国は念願のOECD加盟を果たし、先進国入りしたと浮足立っていました。好景気を伝えるテレビに誰も危機が迫っているとは思いもよりませんでした。
そんな中でも韓国銀行の女性の通貨政策チーム長ハン・シヒョン한시현 (キム・ヘス김혜수)は異変に気付き、報告書を出して警鐘を鳴らし、遅ればせながら政府内で秘密裏に対策チームがたちあげられます。

ハン・シヒョン:首席、いったん最大限早く国民に知らせなければなりません。

財務局次官:だめです。いらぬ混乱ばかり引き起こします。
対策チーム内では国民のために早く韓国の危機的状況を国民に公表するべきと主張するハン・シヒョン한시현 (キム・ヘス김혜수)は、財務局次官役のチョ・ウジン조우진と激しくぶつかりますが、結局危機は国民にはぎりぎりまで隠され、大混乱が起こり数多くの倒産や自殺者を出します。一方で大財閥には裏で情報を提供する財務局次官。ハン・シヒョン한시현は、外資による韓国内銀行株式取得規制緩和や外国資本による敵対的買収を許し、従業員を解雇しやすい制度を作れなどの厳しい条件を突きつけるIMFの陰にアメリカが見え隠れしているのを察知し、IMFに頼る以外の方法をとるべきと主張しますが、反対もむなしく国際通貨基金IMFの資金援助を受けることで妥結してしまいます。
この時賛成派の急先鋒である財務局次官役のチョ・ウジンにハン・シヒョン한시현が言った言葉が印象的でした。「一体あんたはどこの国の人なの?」
ユン・ジョンハク
元金融マンのユン・ジョンハク윤정학(ユ・アイン유아인)は投資者を募って説明をする中で「国は大丈夫だとずっと言っているじゃないか」という投資者に言います。
「国は国民を相手に詐欺を行っているのです!」

ユン・ジョンハク:すでに国家不渡りが始まっているのに政府は何の措置も取っていません。
彼は信じてくれた投資者二人の資金で自分の感覚を頼りにまずはドルを買うことで大当たりさせ、次に不動産を安く買いあさることでのし上がっていくことになります。しかし、購入したアパートの一室で首つり自殺者を見つけたりして、投資者とカラオケで成功を祝いながらも複雑な心情を隠せません。
ガプス

ガプス:私は取引を現金でしかしたことがないもので。
町工場経営者のガプス갑수(ホ・ジュノ허준호)ははじめ何も知らずにミドパデパートと大口契約できたと喜んでいますが、ミドパデパートが倒産し、窮地に立たされていきます。
17年後
映画の最後、何とか窮地をしのいで生き延びたガプスは17年後に息子に言います。
「たとえ優しくしてくれても自分以外は誰も信じるな」
甘い言葉で近寄る人はおろか国だって信じてはいけないという悲しい教訓を得たようです。
映画を見た感想・レビュー
この映画の中ではいろいろな立場の人がそれぞれの選択をして人生を生きていくさまが描かれています。
食うか食われるか。生きるか死ぬか。何が一番大事か。国家とは、政府とは。資本主義経済とは。
ここに出てくる3人の登場人物は架空の人物ですが、政府と、金融と、一般市民という三者三様の立場を代弁していて、より通貨危機を立体的に見せてくれていて分かりやすく、いろいろなことを考えさせられるいい映画でした。政府やIMFに対する批判は鋭く、また難しくなりがちな社会的な問題を登場人物の口を通して分かりやすく解説しているところもよかったです。
韓国で実際にこれと似たことが現実に起きたわけで、対岸の火事ではないのです。明日は我が身かもしれません。そう考えると身が引き締まります。日本にもこういった政治や経済に警鐘を鳴らす映画やドキュメンタリーがもっと出てくるといいと思います。
最後に出てくるセリフでシヒョンは大事なことを言っています。
「一になんでも疑って考えること、二に当たり前のことを当たり前と思わないこと、三にいつも目覚めた目で世の中を眺めること。」
これは現在の日本人にも大いに覚えていてほしい言葉です。
政府は今や決して国民の味方ではなくなっています。例えば沖縄を見てください。政府はどこを見ているのか見極めてください。
安倍政権が2013年に政権の座についてからなんと数多くの国民の望まない悪法を作り出したことか。特定秘密保護法、安全保障関連法、TPP関連法、共謀罪法、働き方改革法、カジノ法、種子法など国民の大多数が反対して大規模なデモも起きていました。数の暴力です。最近も水道民営化のような取り返しのつかない恐ろしいことを推し進めています。
それなのに若い人たちが安倍政権を支持すると堂々とテレビのインタビューで答えているのを見て愕然としました。もっと政治に関心をもつべきです。直接私たちの生活にかかわってくるのですから。
日本政府がすることなら日本国民のためになることだろうという都合のいい思い込みは捨てて疑ってかからなければいけない世の中になったのです。

貧しい人がより貧しくなり、 失業が日常になる世の中 そんな世の中に進んではなりません。
シヒョンの最後のセリフ
끊임없이 의심하고 사고하는 것, (絶え間なく疑って考えること)
당연한 것을 당연하게 생각지 않는 것. (当たり前なことを当たり前だと思わないこと)
항상 깨인 눈으로 세상을 바라 볼 것, (いつも覚めた目で世の中を眺めること)
저는 두번은 지고 싶지 않거든요. (私は二度は負けたくないですから)
メインの予告編(韓国語)
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国家不渡りの日
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国家不渡りの日 パンフレット
公式ページ(日本語)
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