­ミセモンジによる深刻な大気汚染に悩む韓国

出典：YTN

韓国ではＰＭ２．５のことをチョミセモンジ（초미세먼지 超微細粉塵）、ＰＭ１０のことをミセモンジ（미세먼지 微細粉塵）といいます。まとめてミセモンジと言います。

このミセモンジと呼ばれる細かい塵が今年3月に入ってからかつてないほどに猛威を振るっていて、ひどい大気汚染になっています。

日本国内のＰＭ２．５の環境基準では1日の平均濃度が35㎍/㎥（マイクログラム／立方メートル）以下に設定されてますが、韓国では最近毎日100を超える水準が続き、今日の韓国ではそれがなんと200㎍/㎥を超えました。

報道によると可視距離が2㎞だとか。

これがソウルだけではなく全国的にひどくて、軒並み高い水準です。

2019年3月5日の韓国の市・道別大気情報(PM2.5濃度)

2019-03-05 17時基準測定値　単位(㎍/㎥)（出典：Air Korea）

	ソウル	釜山	テグ	仁川	光州	大田	蔚山	京畿	江原	忠北	忠南	全北	全南	世宗	慶北	慶南	済州
時間平均	134	68	81	109	109	92	75	133	113	120	111	102	82	144	82	67	88
日平均	144	45	60	115	136	120	46	149	100	131	115	131	96	153	70	53	81
最高値	178	93	146	157	200	176	92	225	197	239	191	237	191	194	168	113	157
最低値	99	12	18	78	101	75	16	75	18	82	0	53	1	96	15	0	36

（※ PM_2.5測定装置が少ない一部地域の場合  PM_2.5平均が PM₁₀平均より高いことがあります。）

外はどんよりと白っぽくなり、すぐ近くのものすらかすんで見えます。太陽の光も弱弱しく、晴れていても曇っているような日食の時のような薄暗い雰囲気に包まれています。

身体への影響

このようなひどい大気汚染は韓国が長い私でもかつて経験したことがありません。私の実感としてはここ2，3年の間に一気に状態が深刻化したと感じます。

以前は「日本の人たちがマスクをしているのを見て病気なのかと思った」と言っていたほどマスクをしなかった韓国の人たちが、ここ数日は会う人会う人皆マスクをしているのを見かけるようになり、話題は大気汚染のことでもちきりです。

大気が汚いと言っても以前は韓国のソウルや忠清道など朝鮮半島の西海岸だけでしたが、今日チェックしてみたら韓国全体がひどい大気汚染を示す真っ赤や紫になっており、韓国最南の島、済州島までもひどい大気汚染に見舞われていました。

ここまでひどくなるとさすがに大部分の人が体に何らかの不調が出て来るようです。

私の場合はだいたい75㎍/㎥を超えたあたりからまず目がかゆくなってきます。120㎍/㎥あたりを超えるとのどがイガイガしてくるようになり、150㎍/㎥を超えると、目は常時痛痒く、咳が出て鼻の奥もヒリヒリしてきます。

子どもは昨日おとといは目がひどく充血し、微熱まで出て、頭痛、腹痛を訴えていました。

YTNニュースによるとここ数日のようにミセモンジ濃度が「とても悪い」の時に1時間野外活動をすることは、たばこの煙を1時間20分吸うことや、ディーゼル車の排ガスを3時間40分吸うことに等しいとのこと!!!　恐ろしすぎます…。

PM2.5は肺や脳、血管に浸透し、排出されるまでに最小7日所要するという研究結果があるそうです。そのため、脳には脳卒中やアルツハイマー、目には眼球炎症、皮膚には老化や脱毛、肺には咳、喘息、肺胞損傷、肺がん、心臓には心筋梗塞などの心血管疾患などを誘発するそうです。（YTNニュースより）

症状の出方や程度は人によってさまざまですが、私は少し敏感な方みたいです。これが続くようなら真剣に移住しなければならないと思うレベルです。実際「空気難民」という言葉まで出てきました。

よって、はっきり言って、この時期韓国に旅行に来るのは控えた方がいいと思います。

私としては友達や両親が遊びに来てくれたらとても嬉しいのですが、悲しいかな、さすがにこの状況ではとても来てとは言えません。

5月の連休に韓国旅行を考えている方は、このことをよく考えて決めてください。

世界の都市別大気指数で韓国の都市がワースト1とワースト2に！（3月6日追記）

3月6日の朝鮮日報によると、この記事を書いた3月5日17時の都市別大気指数（AQI)(出典：Air Visual）の世界のワースト1がソウル、ワースト2が仁川（インチョン）だったそうです。8位に釜山（プサン）もランクインしています。

屋外活動禁止の警報が一日に何度も鳴る日々

私の携帯電話は警報などが出ると官公庁からお知らせが来てアラームが鳴るようになっているのですが、ここのところ毎日一日に何度もアラームが鳴ります。屋外活動を自制しろというものもあれば、ミセモンジ非常低減措置といって車の運転を控えて公共公共機関を使うようにというものもあります。

 

大気汚染が長引く原因は？

今までもひどい大気汚染は何度もありました。特に去年は春に限らず秋や冬にもＰＭ２．５の濃度が上がって景色が白くなったことが何度もありました。しかし、今回のようには長引きませんでした。このように連日最悪レベルの数値が続く原因は何なのでしょうか。

まずは今年に入って雨や雪がほとんど降っていないことによる乾燥が挙げられます。

また、風速も例年に比べると60%ほど遅いそうです。(3月5日付BBCコリアニュースより)

また、別のニュースによれば、西からの風で中国からの粉塵は吹き込んでくるのに、韓国では移動性高気圧が居座っていることで大気の流れが滞っており、上昇気流も起きず、風も吹かないため希釈されず、汚い空気がよどんでたまっているとのこと。予報ではこの最悪レベルの大気汚染は明日までは続き、微細粉塵の濃度が高い日々は5月ごろまで続きそうです。

もともと朝鮮半島のこうした気候のせいで春は黄砂による汚染が問題になっていた韓国。それが近年ＰＭ２．５にとってかわった形です。

 

大気汚染物質の発生源はどこ？

以前は中国がこの大気汚染の諸悪の根源のように言われていたのですが、近年になって韓国内に大きい原因があるとされる報告が出たのです。

韓国の環境部が去年(2018年)アメリカのNASAと合同でソウル市の大気質を分析した結果、ミセモンジの寄与率は国内52％、国外48％とはじき出されました。その調査結果によると、主要な排出源として工場などの事業所が38％で最も比率が高く、ついで、建設及び船舶が16％、発電所が15％、古いディーゼル車が11％となっています。(3月5日付BBCコリアニュースより)

韓国では日本と違ってディーゼル車が占める割合がかなり多いのです。実際、古そうなディーゼル車から黒い煙が出ているのをしばしば見かけます。それに加えて火力発電所に依存していることも大きな原因となっているようです。

 

大気汚染状況を知る必須アプリ

「ミセミセ(미세미세)」

韓国で広く浸透しているアプリなので韓国在住の人ならご存知の方も多いと思いますが、私が以前から愛用している大気の汚染具合を一目で教えてくれるアプリをご紹介します。その名も「ミセミセ(미세미세)」です。

今自分がいる場所の大気汚染状況を8段階に分けて色と表情で教えてくれます。一番上の数値がＰＭ１０，2番目の数値がＰＭ２．５です。ちなみに3段目からはオゾン、二酸化窒素、一酸化炭素、亜硫酸ガスです。

今日は、というか最近毎日、真っ黒でガスマスクをつけてます。（悲）

現実にこんな女性の姿も…。

Air Visual（エアビジュアル）

こちらは韓国のアプリではありませんが、世界中の都市の大気の状況をアメリカのAQI指数でリアルタイムで知ることができ、3日先までの予報もあるので便利です。

　

このアプリでは世界の都市の大気汚染度のリアルタイムでのランキングも表示できます。

役に立つ大気汚染情報サイト

エアコリア(Air Korea, 에어코리아)

韓国環境公団が提供しているサイトです。韓国内の大気の状態と、警報発令状況を視覚的に見ることができます。韓国が採用しているCAI数値をはじめ、PM2.5,PM10,O3,NO2,CO,SO2などそれぞれの数値を地図上でも知ることができます。

注）CAIについて

韓国では、Comprehensive Air-quality Index（CAI、総合空気質指数）を発表している。6段階となっていて、対象物質はPM2.5、一酸化炭素、二酸化硫黄、オゾン、二酸化窒素の5種類（出典：Wikipedia）

Real-time Air Quality Index(AQI)

中国のサイトですが自分のいる場所や指定した場所の大気の状態を、AQI指数として地図上で分かりやすく色と数値で示してくれ、狭い範囲だけでなく広範囲にも見ることができ、日本や中国との比較も一目でわかってとても便利です。

注）中国のAQI指標について

中国では、従来の空气污染指数（Air Pollution Index, API、空気汚染指数）に変えて2012年から空气质量指数（Air Quality Index, AQI、空気質指数）を発表している。6段階となっていて、対象物質はPM10、PM2.5、一酸化炭素、二酸化硫黄、オゾン、二酸化窒素の6種類（出典：Wikipedia）

Air Visual Earth(エアビジュアルアース)

こちらは地球規模でリアルタイムの大気の流れや汚染度を視覚的に表示してくれておもしろいです。もちろん地域を拡大することもできます。

Air Visual (エアビジュアル）

エアビジュアルでは各地域ごとに地図上にAQI指数の数値で表示されます。

 

危機は商機？！韓国在住の筆者が欲しいと思っているもの

A大型マートでは2017年の2月期に比べ、2019年の2月期は空気清浄機の売上が1393％増加、マスクの売り上げが661％増加したとYTNニュースで報じられていました。

信頼できる安価なマスク

最近急にマスクが売れ出した韓国ですが、日本に比べて単価が高い上、ちゃんと超微細粒子まで防げているのか心配です。マスク先進国（？）の日本なら安価で高機能なマスクもあるのかもしれないと思うのですがどうでしょう？韓国に輸出したら売れそうな気がします。

韓国内でマスクを買う場合のめやす

参考に、韓国でマスクを買う場合はＫＦ（Korea Filter）の等級を確認しましょう。KF等級の数字が大きいほど遮断効果が高く、KF80なら80％遮断するという意味です。

空気清浄機

また、空気清浄機もものすごく売れています。去年は子供の学校の各教室に設置したと聞きました。各教室ですからかなりの数です。家庭でも今や必須アイテムですが、空気清浄機は使い捨ての交換フィルターが高価なことと、超微細粉塵まできちんと除去してくれているのかが気になるところです。

物作りに長けている日本からいい製品が入ってこないかな～と勝手にひそかに期待しているのですが、どうでしょう？？

 

（追記）少しマスクを検索してみました。やっぱりよさそうなのがいろいろあります。

こんな眼鏡も目の保護によさそうです。

空気清浄機は加湿タイプがいいそうです。

こちらは花粉症の方に評価の高いスプレータイプのマスクですが、PM2.5もブロックしてくれるようです！

楽天市場で3個セットでお買い得です。

資生堂 イハダ アレルスクリーン EX 100g ×3個セット あす楽対応

【おすすめの記事】

2019年韓国の祝祭日一覧（カレンダーで休みの日とそれ以外の記念日）ハングル表記あり

【韓国KBSニュース】PM2.5中国は人工降雨で大気浄化

コストコ韓国世宗店の店内の様子を写真で紹介！韓国らしい商品も

韓国で部屋を探す方法（ワンルーム賃貸契約から引っ越しまでの手続きと流れ）