ハングルが読める⁈韓国語の文字の読み方②(子音編)
今回は韓国語を表記する文字ハングルの読み方の2回目です。
前回はハングルの成立と基本となる母音について説明しました。母音にはまだ二重母音(複合母音)もありますが、その前に今回は基本となる子音の読み方(発音の仕方)や書き順などについて詳しく説明していきます。
前回の母音をまだお読みでない方はこちらからどうぞ⇒ハングルが読める?!韓国語の文字の読み方①(母音編)
ハングル(韓国語)の子音
子音と母音の位置関係
前回の復習になりますが、一つの文字の中に入る子音と母音の位置関係には以下のようなものがあります。文字の下の子音はパッチムと呼びます。
また複合母音では母音が二つ組み合わされます。
複合母音の読み方についてはこちらをどうぞ。
ハングルは論理的でシステマティックな文字
少し音声学的な話になってしまいますが、子音を作る部分が喉から唇までのどの部分かというのを調音点というものであらわします。韓国語の子音はこの調音点が、唇、歯茎、硬口蓋、軟口蓋、喉の5か所に分けられるのですが、ハングルの子音の文字の形がこれにきちんと対応して分けられているのです。この調音点別にハングルの子音の読み方を見ていきます。
調音点別ハングルの基本の子音の読み方(発音の仕方)
ハングルの基本となる子音は14個あります。
①唇(ㅁㅂㅍ)
まずは一番わかりやすい唇で作る音です。
ㅁ:〔m〕の発音です。日本語で言うとマミムメモの子音になります。漢字の「口」やカタカナの「ロ」と同じように書きます。この文字が唇で作る音の基本形です。
ㅂ:〔p〕〔b〕の発音です。日本語で言うとバビブベボやパピプペポの子音になります。語頭では半濁音の〔p〕、語中では濁音の〔b〕の発音になるのですが、韓国の人たちは意識して変えているわけではありません。同じ音だと認識している人が多いです。日本語を習っている韓国人に日本語の濁音と半濁音(場合によっては清音)の区別ができない人が多いのはこのためです。では何で区別するのかというと、空気の出る勢いです。このㅂは空気が自然に出る感じの発音なので、〔p〕の発音の時も、優しく口を開く感じであまりはじけた音にはなりません。
ㅂの文字の形はㅁの左右の縦画を上に伸ばしたような形になっています。ㅂの書き順は、左縦画→右縦画→上横画→下横画の順です。
ㅍ:〔ph〕の発音です。pの右上のちいさなhは息がたくさん出ることを表します。日本語であらわすと、パッ、ピッ、プッ、ペッ、ポッと言った時の子音のような感じで、少し息を意識して多めに出すとよいです。これは絶対に濁った音にはなりません。
ㅍの文字の形はㅁの上下の横画を左右に伸ばしたような形になります。ㅍの書き順は、上横画→左縦画→右縦画→下横画の順です。
②歯茎(ㄴㄷㅌㄹ)
上の歯茎の裏側と舌の先を使って出す音です。
ㄴ:〔n〕の発音です。日本語で言うとナニヌネノの子音になります。ㄴの文字の形は大文字のLやカタカナのレと似ていますが、これは実は〔n〕を発音した時の舌の形を表しています。左を向いている人の口の中で舌先が歯茎を触ろうと上がっている様に見えませんか?
ㄷ:〔t〕〔d〕の発音です。日本語で言うとタ、ティ、トゥ、テ、トやダ、ディ、ドゥ、デ、ドの子音になります。語頭では清音の〔t〕、語中では濁音の〔d〕の発音になるのですが、これも韓国の人たちは同じ音と認識しているので、意識して変えているわけではありません。ㄷの文字の形はㄴの上に横画を一画足した形です。ㄷの書き順は、上横画→縦画から横の順です。
ㅌ:〔th〕の発音です。tの右上のちいさなhは息がたくさん出ることを表します。日本語であらわすと、タッ、ティッ、トゥッ、テッ、トッと言った時の子音のような感じで、少し息を意識して多めに出すとよいです。これは絶対に濁った音にはなりません。
ㅌの文字の形はㄴに横画を二画足した形です。ㅌの書き順は、上横画→中横画→縦画から横の順です。
ㄹ:〔r〕の発音です。日本語で言うとラリルレロの子音になります。パッチム(終声)の場合は〔l〕の発音です。ㄹの文字の形はㄴの上に画を二画足した形で、漢字の己と同じ書き順です。
③硬口蓋(ㅅㅈㅊ)
上の歯茎から上あごの裏の固い部分にかけてと舌で出す音です。
ㅅ:〔s〕〔ʃ〕の発音です。日本語で言うとサシスセソの子音になります。漢字の人と似た形で、同じ書き順です。
ㅈ:〔tʃ〕〔dʒ〕〔ʒ〕の発音です。日本語で言うとチャ、チ、チュ、チェ、チョ、や、ジャ、ジ、ジュ、ジェ、ジョの子音になります。語頭では清音の〔tʃ〕、語中では濁音の〔dʒ〕〔ʒ〕の発音になるのですが、これも韓国の人たちは同じ音と認識しているので、意識して変えているわけではありません。ㅈの文字の形はㅅの上に横画を一画足した形で、ちょうど日本語のカタカナのスと同じような形です。書き順もカタカナのスと同じです。
ㅊ:〔tʃh〕の発音です。tʃの右上のちいさなhは息がたくさん出ることを表します。日本語であらわすと、チャッ、チッ、チュッ、チェッ、チョッと言った時の子音のような感じで、少し息を意識して多めに出すとよいです。これは絶対に濁った音にはなりません。
ㅊの文字の形はㅅの上に横画を二画足した形です。ㅊの書き順は、上に点を書いてからカタカナのスのように書けばいいです。
④軟口蓋(ㄱㅋ)
上あごの奥の方から喉にかけての部分で出す音です。
ㄱ:〔k〕〔g〕の発音です。日本語で言うとカキクケコやガギグゲゴの子音になります。語頭では清音の〔k〕、語中では濁音の〔g〕の発音になるのですが、これも韓国の人たちは同じ音と認識しているので、意識して変えているわけではありません。ㄱの文字の形は舌が奥の方から盛り上がる様子を横から見て表した形です。ㄱの書き順は、カタカナのフと同じです。
ㅋ:〔kh〕の発音です。kの右上のちいさなhは息がたくさん出ることを表します。日本語であらわすと、カッ、キッ、クッ、ケッ、コッと言った時の子音のような感じで、少し意識して息を多めに出すとよいです。これは絶対に濁った音にはなりません。
ㅋの文字の形はㄱに横画を一画足した形です。ㅋの書き順は、カタカナのフ→中横画の順です。
⑤喉(ㅇㅎ)
喉を使って出す音です。
ㅇ:母音の前や上にある場合は子音がない、つまり母音だけを発音するという意味になります。母音の後、つまり文字の下の部分のパッチムに現れる場合は〔ŋ〕の音です。英語の‐ingの後ろの部分のような鼻から抜ける子音になります。日本語のンを長めに発音して鼻から抜くような感じです。
ㅎ:〔h〕の発音です。日本語のハヒフヘホと似た子音ですが、若干日本語より弱めに発音されるようで、特に語中に来た場合、母音だけしか聞こえない場合もあります。
ハングルの子音の順序
辞書などに乗っている順序は以下の通りです。
ㄱ ㄴ ㄷ ㄹ ㅁ ㅂ ㅅ ㅇ ㅈ ㅊ ㅋ ㅌ ㅍ ㅎ
子どもたちにこの順序を教えるときにはすべての子音にアをつけて
가나다라마바사아자차카타파하
「カナタラマパサアチャチャッカッタッパッハ」
と歌に合わせて覚えたりします。歌はいくつか種類があるので、好みのものを探すのもいいかもしれません。
濃音(된소리,トェンソリ)
上記以外に濃音(된소리,トェンソリ)という子音もあります。濃音には、
ㄲ、ㄸ、ㅃ、ㅆ、ㅉ
の5種類があり、同じ文字を二つ重ねて表記します。これらは、元の子音ㄱ,ㄷ,ㅂ,ㅅ,ㅈを発音する直前に喉の奥を一度閉じてから力を込めて強く発音するのが特徴です。喉の奥を閉じるという表現が分かりにくければ、前に小さい「ッ」があるように発音するといいでしょう。例えば까は「ッカ」、따は「ッタ」、빠は「ッパ」、싸は「ッサ」、짜は「ッチャ」のようにです。有声音にはなりません。日本語にない音なので、聞き取るのも発音するのも最初は難しいですが、慣れればできるようになります。
クイズです!次のハングルを読んでみましょう。
1.고기
答え:コギ。肉の意味です。
2.밥
答え:パp。ご飯という意味です。
3.찌개
答え:ッチゲ。日本でチゲ鍋と言われている料理の名前です。
4.바지
答え:パジ。ズボンという意味です。
5.치마
答え:チhマ。スカートという意味です。
6.머리
答え:モリ。頭という意味です。
7.우산
答え:ウサン。傘という意味です。
8.비싸다
答え:ピッサダ。(値段が)高いという意味です。
次はハングルが読める⁈韓国語の文字の読み方③(複合母音編)です。
パッチムについてはこちら。【韓国語の発音】パッチムの読み方①連音化
1件の返信
[…] つ組み合わせることで二重母音も表せます。でもそれは少し複雑になるので置いておいて、次回は子音から行きたいと思います。⇒ハングルが読める⁈韓国語の文字の読み方②(子音編) […]