韓国でも大晦日には除夜の鐘
韓国の除夜の鐘
大晦日の夜に日本全国のお寺から聞こえる除夜の鐘。
実は日本だけではなくて韓国にも除夜の鐘を鳴らす習慣があるのです。
その名も「제야의 종(ジェヤエジョン 除夜の鐘)」で、日本と同じです。
普信閣(ポシンガk)の鐘
ソウルの鍾路(종로 チョンノ)というところに「普信閣( 보신각 ポシンガk)」と呼ばれる鐘楼があるのを観光旅行で見たことがある人も多いかと思います。
毎年、新暦の12月31日の夜にはここに大勢の人が集まり、除夜の鐘をつく行事が行われてテレビ中継がされます。
1394年に李成桂が朝鮮王朝を建国し、漢陽(ハニャン)、つまり現在のソウルに遷都して、景福宮(キョンボックン)や漢陽城(ハニャンソン)を建て、東西南北に四大門と呼ばれる4つの門を設置しました。太祖李成桂は1396年に鐘楼も造り、この時から四大門の閉門時刻である夜10時に28回、開門時刻である早朝4時に33回鳴らすようになりました。
これが「普信閣(ポシンガk)」の鐘の始まりです。
つまり元は時刻を知らせる目的で使用されていたのです。
1985年に老朽化のため新しい鐘を鋳造したので、古い鐘は国立中央博物館に展示されているそうです。
日本は108回、韓国は何回?
日本では百八つの煩悩をなくすという意味で108回つくと言われます。
韓国ではなぜか33回です。前述の四大門開門の時の回数から来ているという説や、仏教から来ているという説など諸説あり、由来はよく分かりません。
ソウルの「普信閣(ポシンガk)」の除夜の鐘が有名ですが、実は韓国でも全国各地で鐘をつく行事は行われているそうです。
時報から除夜の鐘への変遷
もともと開閉門時の夜10時と朝4時にならされていた鐘は、1895年からは正午と夜中の0時に時刻を知らせるように変更されました。
ラジオ局のエピソード
除夜の鐘に関連して、日本植民地時代の1927年2月16日に、東京、大阪、名古屋に次ぐ4番目の放送局として、ソウルに開局したラジオ局、キョンソン放送局の放送開始の特別企画のエピソードが面白いです。
1928年はキョンソン放送局が誕生して初めて迎える新年だったので、少し変わった企画をしたいと考えたそうです。
その企画とは、1月1日昼の12時に鶯の初鳴きの声をラジオを通してリスナーに聞かせようというもの。
ちょうど鶯を飼育している人がいたので、朝7時に3羽を借りてきて、毛布に包んで暗くして置いて、放送局で時刻に合わせて毛布をとって明るくしてやれば朝だと勘違いして鳴くだろうと考えました。
アナウンサーが11時30分に「今年最初の鶯の鳴き声をお聞かせします」と言って毛布をとったのですが、これが鳴かない。
あわてて周りで口笛を吹いて見たり、バイオリンを鳴らしてみたりしたけれど、いっこうに鳴かない。(笑)
結局、37分が経過した後、謝罪放送をし、あきらめたということです。
翌年の1929年正月。今度は鶯のような不確実なものではなく、確実に鳴らせるものとして、ソウルの南山にある日本人のお寺から鐘を借りてきて1月1日にスタジオで10秒ごとに鳴らして放送したということです。これがもとで、除夜の鐘が全国に知られるようになりました。
韓国独立後の除夜の鐘
韓国独立後、除夜の鐘は1953年の年末から始まりました。
ソウル市長初め、ソウル市議会議長、ソウル教育監(教育長)、ソウル地方警察庁長官などが出席し、テレビ中継されます。去年はペンスというペンギンのキャラクターも参加しました。YouTubeで当時の映像を見ると、マスクなしでものすごい数の人たちが夜中に集まってカウントダウンしている様子が見られます。ほんの1年前のことなのに、コロナ禍の今となってはもう夢の中のような遠い昔のことのようで切ないです。(YTNの当時の映像のリンクを張っておきます。)
コロナ禍の2020年の年末の除夜の鐘は
ソウル市は、今年は新型コロナの拡散防止のため、1953年以来毎年行われてきた普信閣( 보신각 ポシンガk)での除夜の鐘の打鍾行事は行わないと発表しました。67年の歴史で初めてのことです。おそらくオンラインで行われるそうです。
釜山市も、去年は竜頭山公園(용두산공원 ヨンドゥサンコンウォン)で行われた除夜の鐘の行事をオンラインで行うと発表しました。
興味のある方は「타종행사(打鍾行事)」で検索して、日本から韓国の除夜の鐘をきいてみてください。
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