『新聞記者』は今絶対見るべきおすすめ映画! - True Vine

『新聞記者』は今絶対見るべきおすすめ映画!

映画『新聞記者』

新聞記者



『新聞記者』鑑賞後記

2019年6月の日本公開前からずっと見たかった話題の映画、『新聞記者』がやっとやっと10月17日に韓国で公開され、みてきました。一言で言って、すごい映画でした!

邦画では珍しい政治をテーマにした社会派映画で、フィクションの中に現在の日本社会を最大限織り込んでいます。去年財務省職員に自殺者まで出して大問題になり、しかしそのままだれも責任を取らずうやむやになっている、森友・加計学園問題や、これまたうやむやの公文書改ざん問題、元TBS記者の山口敬之さんから性暴力を受けたとして訴訟を起こした、ジャーナリストの伊藤詩織さんの準強姦疑惑もみ消し事件など、名前は違ってもはっきりわかるような現実の事件が出てきます。

このような事件を扱うことで真っ向から現政権批判、権力批判するという内容もすごいですが、映画としてもサスペンスの面白さもあり、俳優陣の魂を揺さぶられるような演技にも圧倒される素晴らしい映画でした。

10月には第11回TAMA映画賞特別賞を受賞し、主演女優のシム・ウンギョン氏は最優秀新進女優賞に輝いています。

しかし、見終わった後にはとても怖い映画でもありました。

内閣調査室などという、得体のしれない組織がこの日本にあり、情報をコントロールして世論を誘導(時にはでっち上げ)しているなんて、どれだけの人が知っているでしょうか。「この国の民主主義は形だけでいいんだ」というセリフは見ている私たちに問いかけてきます。

そして、善意ある個人悪意を持った組織の前にはいかに無力で簡単に犠牲になってしまうかということ―。

この恐ろしい世界に私たちは実際に住んでいるのだと、思い知らされるから怖いのです。ラストシーンの杉浦の苦悩に満ちた表情が印象に残っています。この世界で、真実を明らかにし、正義を行うということが、これほど難しく、犠牲を伴うことだとは、正直思っていませんでした。絶望しそうになります。

しかし、この恐ろしく私利私欲と悪意に満ちた世界を変えたいなら、一人一人が自分に関わる問題として認識し、協力して行動を起こす必要があります。

問題をまずは認識するためにも、一人でも多くの人に見て、考えてほしい映画でした。

 

疑惑

2019年10月19日に次のようなニュースが出ました。

 

文部科学省所管の独立行政法人「日本芸術文化振興会」(河村潤子理事長)が、公開中の映画「宮本から君へ」をめぐり、内定していた助成金を出演者の不祥事を理由に不交付としたことが18日、分かった。同振興会によると、これを受け、公益性の観点から不適当と認められる場合は内定を取り消せるように交付要綱を改正したという。

同作品に出演した元俳優でミュージシャンのピエール瀧さんが、麻薬取締法違反(使用)で6月に執行猶予付き有罪判決を受けた後、外部の識者に諮った上で、理事長が不交付を決定した。同振興会によると、出演者の不祥事による不交付は、今回が初めて。理由について「国が薬物を容認するようなメッセージを発信する恐れがある」と説明した。

さらに同振興会は9月27日の定例の運営委員会を経て、公益性を損なう場合などに、助成金交付の内定を取り消せる項目を交付要綱に加えた。助成対象団体、あるいはキャストやスタッフが重大な違法行為を行った場合を想定しているという。(読売新聞オンラインより)

 

実はこの映画『宮本から君へ』のエグゼクティブプロデューサーは河村光庸氏と岡本東郎氏で、映画『新聞記者』と同じなのです。

他にもよく見ると、SNSなどでよく政治的な発言をしている古館寛治さんや、星田英利さん(元ほっしゃん。)なども出演しています。(参考:たとえ干されようとも いだてん俳優、覚悟の政治発言元ほっしゃん。星田英利 政治的な発言をする理由…「子供たちの未来」…共感呼ぶ

内定していた助成金を、後から要項を改定して交付取り消しにするというのは異例で、あいちトリエンナーレの「表現の不自由展」の補助金取り消しの場合同様、検閲の手段ともなりえる危険なものです。

この助成金不交付の件は、政治的な圧力が働いたのではないかと思うのは私の勘繰りすぎでしょうか。

スタッフ

監督

藤井道人

 

原案

『新聞記者』望月衣塑子(東京新聞記者)著(角川新書刊)、河村光庸

 

 

企画・製作

河村光庸

 

エグゼクティヴ・プロデューサー

河村光庸、岡本東郎

 

主要キャスト

シム・ウンギョン(吉岡エリカ役)

松坂桃李(杉原拓海役)

 

主題歌

OAU「Where have you gone」

 

ストーリー

東都新聞記者・吉岡(シム・ウンギョン)のもとに、大学新設計画に関する極秘情報が匿名FAXで届いた。日本人の父と韓国人の母のもとアメリカで育ち、ある思いを秘めて日本の新聞社で働いている彼女は、真相を究明すべく調査をはじめる。

一方、内閣情報調査室官僚・杉原(松坂桃李)は葛藤していた。

「国民に尽くす」という信念とは裏腹に与えられた任務は現政権に不都合なニュースのコントロール。

愛する妻の出産が迫ったある日彼は、久々に尊敬する昔の上司・神崎と再会するのだが、その数日後、神崎はビルの屋上から身を投げてしまう。

真実に迫ろうともがく若き新聞記者。「闇」の存在に気付き、選択を迫られるエリート官僚。

二人の人生が交差するとき、衝撃の事実が明らかになる! 現在進行形のさまざまな問題をダイレクトに射抜く、これまでの日本映画にない新たな社会派エンタテインメント!あなたは、この映画を、信じられるか?(公式ホームページより)

映画『新聞記者』公式ホームページ

 

韓国KBSでの藤井道人監督インタビュー映像

↓DVD

 

「i-新聞記者ドキュメント-」

映画「新聞記者」に続き、「i-新聞記者ドキュメント-」(森達也監督)が11月15日公開されます。

今度はフィクションではなくドキュメントで、第32回 東京国際映画祭 正式出品作品です。

「i-新聞記者ドキュメント-」の第32回東京国際映画祭の上映スケジュールは以下の通りです。

●1回目上映 11月1日 TOHOシネマズ六本木ヒルズ 1番スクリーン 開演時間:10:30- ★上映後の舞台挨拶

●2回目上映 11月4日 TOHOシネマズ六本木ヒルズ 1番スクリーン 開演時間:17:15- ★上映後の舞台挨拶

作品公式サイトは i-shimbunkisha.jp/sp/  です。

こちらも楽しみですね!

 

書籍はこちら。

 




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