モンスーンコーヒーって?インド産コーヒーの特徴、産地、格付け - True Vine

モンスーンコーヒーって?インド産コーヒーの特徴、産地、格付け

インドと言えば紅茶の栽培で有名ですが、実はコーヒー豆の栽培でも古い歴史を持っています。

インドのコーヒーはボディが重く酸味が弱いため特にエスプレッソ用に人気が高い豆です。

また、「モンスーンコーヒー」と呼ばれる一風変わった処理を施したコーヒーでも有名です。今日はそんなインドのコーヒー栽培について調べました。



インドのコーヒーの基本データ

世界の生産量に占める割合:3.5%

生産量:世界第8位(31万2千トン/2017年)

主な種:アラビカ種40%、ロブスタ種60%

主な品種:カーベリ(カティモール)、ケント、S795、セレクション4/5B/9/10、サン・ラモン、カトゥーラ、デバマシー

収穫期: アラビカ種:10月~2月

ロブスタ種:1月~3月

生産処理:ナチュラル、ウォッシュト、セミウォッシュト、モンスーン

 

インド産コーヒーの生産形態と特徴

時は1600年代、当時コーヒーノキの栽培を独占していたイエメンから輸出厳禁だったコーヒーノキの種子をインドの修行僧ババ・ブダンが決死の覚悟で盗んでインドのマイソール地方に持ち帰ったのがインドのコーヒー栽培の始まりといわれています。

インドのコーヒー栽培はほとんどが南部地方に集中しています。南部はコーヒー、北部は紅茶と言われていましたが、最近では北東部でもわずかにコーヒーの生産が開始されています。

インドのコーヒー農園には通常シェードツリーと呼ばれる背の高い植物が一緒に植えられていてコーヒーノキを強い日差しから守ります。シェードツリーとして混植される植物は、胡椒、しょうが、カルダモン、ナッツ類、オレンジ、バニラ、バナナ、マンゴー、ジャックフルーツなどです。

25万人の生産者のほとんどが小規模農園を営み、およそ100万人がコーヒーを生計の手段としています。

モンスーンコーヒー

収穫後の処理方法は様々ですが、インド独自の気候を生かした「モンスーン式」という処理方法でうまれる「モンスーンコーヒー」が有名です。これは、ナチュラルで精製されたアラビカ種のコーヒーの生豆を暑い天候のもとで6~7週間もモンスーンの湿潤な風にさらすことで豆が膨らんで色が緑から黄色に変わり、味が変化したものです。その色から「黄金コーヒー」とも呼ばれています。もともとは、大航海時代にインドからヨーロッパに行く船にコーヒーを積んで出荷していたころ、その船路が約半年にも及んだため船倉で風味が変わってできたものです。その後輸送手段が発達してモンスーンコーヒーは一時姿を消しますが、その味を懐かしがる人々が多くいたことから復活したそうです。

インド式コーヒー

インドの南部で一般的なインド式コーヒーの飲み方はこれまた独特です。

まずコーヒーの粉だけではなく、チコリ(タンポポ科に属するハーブ)の粉も2~3割ほど混ざったものを使ってコーヒーを抽出します。インド式のステンレス製のドリッパーでステンレス製の容器にゆっくりと濃いめに少量抽出したコーヒーに、砂糖と温めた牛乳を入れ、二つの容器を使って高い位置から数回移し替えると泡が立ったミルクコーヒーのようなものができます。これがインド式コーヒー(インディアンコーヒー)です。

 

インドのコーヒーの格付け方法

インドでの等級の呼び方は少し変わっています。まず豆の種と処理方法によって呼び分けるのですが、アラビカ種をウォッシュトで処理したものをプランテーション、アラビカ種をナチュラルで処理したものをアラビカチェリー、ロブスタ種をウォッシュトで処理したものをパーチメント、ロブスタをナチュラルで処理したものをロブスタチェリーと呼ぶそうです。スクリーンサイズと標高によってもアルファベットで等級分けがなされています。

 

モンスーン・マラバール

モンスーニングされた豆で黄金色、やや木のような風味があります。酸味は控えめで厚みのある口当たりです。

(追記:後日購入して手焙煎で飲んでみました。その記事はこちらです。インド モンスーン マラバールAA(Monsooned Malabar AA)を手焙煎で飲んでみた感想

インドのコーヒーの主な生産地区

南部・カルナータカ州

南部のカルナータカ州はインドのコーヒーの50%を少し上回るほどの生産量を誇ります。そのうち70%はロブスタ種です。

このカルナータカ州のチクマガルルにあるババブーダンジリ山脈がコーヒーノキがインドで初めて植えられた場所です。

 

南部・ケララ州

インドのコーヒーの約30%が生産されている州です。ほぼすべてロブスタ種です。主な産地はワヤナード、トラヴァンコール、パラカッドです。

モンスーン・マラバールのルーツです。

 

南部・タミル・ナードゥ州

インドのコーヒーの約10%、アラビカ種とロブスタ種の両方を生産しています。

主にシェバイロ山地やニルギリス、コダイカナル周辺で栽培しています。

 

東部

東海岸に位置するアーンドラ・プラダーシュ州とオリッサ州はまだプランテーションの歴史が浅い地域です。すべてアラビカ種で、国内総生産量の6%をしめます。

 

北東部

新たにコーヒー栽培が開始された地域です。すべてアラビカ種で国内総生産量の2%ほどです。

 

参考文献

『コーヒーの基礎知識バリスタテクニック・100のレシピCOFFEE BOOK』Anette Moldvaer著 誠文堂新光社

『知れば知るほどおいしく飲めるコーヒー辞典』藤田政雄著 日本文芸社

『極める愉しむ珈琲辞典』西東社

 

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