最新韓国映画『モガディシュ(Escape from MOGADISHU)』はスリルと笑いとほろ苦さもある実話をもとにしたおすすめ映画 - True Vine

最新韓国映画『モガディシュ(Escape from MOGADISHU)』はスリルと笑いとほろ苦さもある実話をもとにしたおすすめ映画

韓国映画「モガディシュ(모가디슈)」を見てきました

韓国でも新型コロナは猛威を振るっていますが、状況は日本ほど悪くはないので、最近予約率で2位以下に圧倒的差をつけて1位を独走し続けている韓国映画『モガディシュ』を見てきました。

2021年7月28日に公開されたこの映画、もともとは2020年夏に公開予定でしたが、コロナによって延期されていたそうです。

モガディシュはソマリアの首都の名前です。

1991年、ソマリア内戦に巻き込まれ、孤立してしまった韓国大使館員と北朝鮮大使館員が脱出するまでのストーリーを実話をもとに描いています。

内戦状態の戦闘のリアルさもさることながら、韓国の人と北朝鮮の人の間の微妙な関係性がよく表現されている映画です。

タイムリーなことに現代の現実世界でも、アフガニスタンから米軍やNATO軍が撤退したことによってタリバンが全土を制圧し、2021年8月15日についに首都のカブールに侵攻したため、各国の外交官やアフガン政府関係者などが出国を急いでいるところへアフガニスタンの市民が空港に押し寄せ混乱しているというニュースが飛び込んできました。アフガニスタンが今後どうなるのか心配です。

作品情報

モガディシュ

題名:モガディシュ(모가디슈)(Escape from MOGADISHU)

2021年 ‧ アクション/ドラマ ‧ 2時間 1分

韓国初公開日: 2021年7月28日

監督: リュ・スンワン 류승완

配給:ロッテエンターテイメント

累積観客数: 178万7658人(8月9日までの13日間で)

評価:観覧客  8.77/10 記者・評論家 7.27/10 ネチズン 7.89/10

(出典:NAVER映画)

主要キャスト

キム・ユンソク 김윤석 …ハン・シンソン韓国大使役 한신성 대사役

チョ・インソン 조인성…カン・デジン韓国参事官役 강대진 참사관役

ホ・ジュンホ(ジュノ)허준호…リム・ヨンス北朝鮮大使役 림용수 대사役

ク・ギョファン 구교환…テ・ジュンギ北朝鮮参事官役 태준기 참사관役

あらすじ

内戦で孤立した都市、モガディシュ
「これより我々の目標は、ひたすら生き延びることとする!」

大韓民国が国連加盟のために東奔西走していた時期。
1991年、ソマリアの首都モガディシュでは一触即発の内戦が起こる。
通信手段さえ失われたその場所に取り残された大韓民国大使館の職員と家族は、
銃弾と砲弾が降り注ぐ中、生き残るために一日一日を耐えしのぶ。
そんなある夜、北朝鮮大使館の一行が助けを求めて、門扉をたたく…

目標は一つ、モガディシュから脱出すること!

(韓国語のあらすじより翻訳)

予告編(韓国語)

ネタバレと感想

ソマリアで内戦があったことくらいは知っていましたが、何の予備知識もなくこの映画を見に行きました。

それでも十分理解できる内容で、わかりやすい映画でした。

ソマリアでの撮影は難しいため、4か国を検討した末モロッコのエサウイラという都市で全編撮影されたこの映画は、異国的な雰囲気も魅力です。

俳優も韓国のほかケニア、イタリア、イギリス、セネガルから出演しておりインターナショナルです。

前半はとてものんびりとしていて笑いが漏れるようなのどかな日常が描かれていて、こんなで内戦など起きるのだろうかという雰囲気でした。

それがひとたび内戦が始まると、あっという間に町は戦場と化していきます。

あるのは混乱と暴力と略奪と理不尽さ、むごたらしさと悲しみ。

現実世界でもこんな風にある日突然日常が奪われる時が来るのかもしれません。

この映画の救いは、このような状況でも重くなりすぎないところです。


ここからはネタバレを含みます。

嫌な方は読み飛ばしてください。


1990年当時、韓国はまだ国連加盟の悲願が果たせていませんでした。(1991年に北朝鮮と一緒に加盟します。)

アフリカの賛成票を得るために駐ソマリア韓国大使館では苦労して大統領との会談の約束を取り付けますが、北朝鮮大使館員が反政府組織に手を回して襲わせ邪魔をします。

このように朝鮮半島の外のアフリカの地でも対立しあっていた韓国と北朝鮮ですが、突如そうもいっていられない事態が起きます。

武装した反政府組織が首都に入場して首都が無法地帯になり、韓国と朝鮮のどちらの大使館も母国との通信手段がなくなってしまったのです。

有能な韓国の大使館員のカン参事官(切れ者で強くてかっこいいのです!)は何とか政府軍による警備を確保しますが、北朝鮮の大使館には反政府組織が略奪に押し入り、子供たちもつれて命からがら逃げだし、万策尽きて韓国大使館に助けを求めます。

 

ためらったものの人道的見地から受け入れを決める韓国大使。

そこから奇妙でぎこちない同居生活が始まります。

食事を出されても毒が盛られているのではないかと疑って口を付けない北朝鮮の人たちを安心させるため、自分のご飯と交換して食べて見せる韓国大使の気遣いが素敵です。

ぎこちなくても、もともと言葉も文化も同じ民族です。韓国大使夫人がケンニップ(荏胡麻の葉)の漬物を箸でめくれなくて困っていると、そっと自分の箸で抑えてくれる北朝鮮の人。

日本人だったら、そんなおせっかいはしなかったでしょうが、朝鮮半島ではこれは至極当たり前な気遣いなのでしょう。

こんなふうに徐々に信頼関係を築いていく両国大使と職員たち。

 

しかし警備はお金がもらえないとわかるとすぐにいなくなってしまい、一刻も早くソマリアを脱出しなければ命が危険な状況です。

話し合い、韓国側はイタリア大使館に、北朝鮮側はエジプト大使館に、頼みに行きます。

韓国大使館員だけなら助けられるというイタリア大使に嘘までついて北朝鮮の大使館員も飛行機に乗れるよう頼みこむ韓国のハン大使。

何とか了承を得て帰り、翌日4台の車に便乗して4時までにイタリア大使館に向かうことにします。

市中は銃弾と砲撃が続く危険な状態なので道中少しでも車を防弾するため、北と南の大使館員たちは力を合わせて、大使館にあった本やドアなどを車の天井やボンネットに貼り付け、土嚢をたくさん作って窓にぶら下げます。

イスラムのお祈りの放送が流れている間に4台は出発しますが、お祈りが終わると反政府軍からも政府軍からも銃撃されて本やドアを飛び散らせながら逃げるさまは、スリルと緊迫感にあふれながらもどこかコミカルで、監督のセンスが感じられました。

最終的に北朝鮮のテ参事官が命を落としてしまいましたが、残りはみなイタリア軍用機でケニアに行くことができます。

機内から空港を見ると、双方の迎えが来ています。それを見て機内でお別れをする両国大使館員。

飛行機を降りた後はお互いを一瞥もしないでそれぞれ迎えの車に乗って去っていきます。

すこしでも親しげなそぶりを見せれば、スパイの容疑をかけられる恐れがあるからです。

なんとも苦みの残る映画の終わり方でした。

でもこれは映画の中だけの話ではなく、現実なのですよね。今も両国の分断は続いています。

やはり、今の状態は正すべきなのだと思わせられました。

 

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