中学・高校生の制服代を自治体が負担⁉制服無償化が全国で実現しつつある韓国
中学生、高校生の制服無償化
啓蟄も過ぎ、春を感じられる暖かい日が多くなりました。
韓国でも今、梅や、山茱萸(さんしゅゆ)が見ごろです。モクレンも咲き始めました。
(以前の記事に写真あります:韓国の春を告げる花は?ケナリ、チンダルレ、モンニョン、ポッコッ)
韓国では3月から新学期、日本も4月から新学期で、何かと物要りの季節でもあります。
中でも制服は高額で、家計の大きな負担になります。
韓国ではこの制服代を、自治体が負担して家計の負担を軽くしようという動きが数年前から起こっています。
今日はこのことについて書いてみようと思います。
韓国の制服のお値段は?
日本では制服が一式10万円もすると聞いています。
高いですね…。
韓国も制服を一式そろえるとそれなりのお金がかかり、家計の負担になっていました。
例えば、ジャケット 11万9000~13万9000ウォン、 ズボン・スカート 6万9000ウォン、ベスト 4万5000ウォン、シャツ・ブラウス 4万3000ウォン、といった具合です。
一揃いだけ買っても27万6000ウォンで、洗い替えも購入すると30万ウォン台後半です。(100ウォン=約10円)(出典: 뉴스웍스(http://www.newsworks.co.kr))
今や物価は日本とあまり変わらない韓国ですが、制服に関しては日本に比べればこれでもかなり安いかもしれません。
これは政府機関である教育部と主要な制服業者が話し合いをして、2015年から学校主幹共同購入の制服の上限価格を夏服冬服合わせて3万円ほど(301,163ウォン)に設定してきたおかげといえます。
自治体が中高生の制服代を負担してくれる?
2019年ごろから徐々に制服代を支援してくれる自治体が出てきました。
2020年には、ソウル市、テグ広域市、忠清北道、慶尚北道を除いた12個の市と道で、学生一人当たり平均27万6千ウォンの現物支給または現金支給で制服購入の支援が行われています。
ソウルでも、中区、マポ、クムチョン、カンドンの4つの自治区で無償制服を支援しています。
そして今年、2021年度は腰の重かったソウル市もとうとう支援に動きました。
ソウル地域の中学校、高等学校に入学するすべての新入生に、「入学準備金」30万ウォンを支援することが決まりました。
制服に限らず、このお金で書籍、スマート機器などを購入することも可能です。
2021年度にソウル市内の国公私立中学校及び高等学校に入学する新入生は約136,700人で、予想される予算は 410億ウォン(約41億円)です。
ソウル市と自治区と教育庁が、3:2:5 の比率で負担するそうです。
昨年うちの子も制服一式分支援してもらいました。
体操服やジャージ、生活服やカーディガン、洗い替えのシャツ・ブラウスなどは含まれないため個人で購入する必要がありますが、それでもとても助かりました。
制服リサイクル活動も活発
成長期ですぐにサイズが合わなくなってしまい、買い替える必要が出てくることも多い制服。
それほど着ていなくても卒業してしまえば着る機会もなくもったいないものです。
制服をリサイクルできれば、あげるほうももらうほうも助かって、環境にもやさしいのでいいと思いますが、日本の私の実家のあたりでは知り合いや親せきに細々と個人的に譲り合うくらいしかリサイクルの方法がありませんでした。
ところがここ韓国の私の住んでいるアパートでは、年度終わりの2月に毎年制服リサイクル会を開いてくれるのでとても助かります。
完全無料で、好きなだけもらってくることができるのです。学校とサイズが合うものを探し出すことさえできれば、一式丸々無料でゲットすることもできます。
アパートは何棟も集まって一つのアパートを形成しているので、人口密度が高くてこういうことをするのには便利です。
実は学校指定のものはあまりない韓国
私は日本の学校にも子供を通わせた経験があります。
その時に学校から購入するものを指示されたのですが、その一覧を見てびっくり!日本はあまりにも学校指定のものが多いからです。
制服とジャージや体操服は韓国でも学校指定です。
でもそれ以外のものは指定されていません。
普段から使っているカバンや上着を使うことができ、スリッパなどもみなバラバラです。
ところが日本ときたら、スリッパ、運動靴、体育館シューズ、カバン、補助カバン、ウインドブレーカーなど、みーんな学校指定です。
しかもその一つ一つがお値段が普通より高めです。
それに、指定ではなくてもコートの色や靴下の色も決められていて、結局その色を持っていなかったのでそれも買う羽目になりました。
こんなに買ったら、いったいいくらかかると思っているのでしょう。
経済的に恵まれている家庭ばかりではないのです。
日本もある程度は私物を活用できるようにすべきだと思います。
少なくとも中学までは義務教育なのですから、韓国のように制服だけでも行政からの支援があってしかるべきだと思います。
無償給食も当たり前に
2019年度からは韓国のすべての小中学校で無償給食が行われています。
高校でも無償給食が実施されている自治体も複数あります。
詳しくは以前こちらの記事↓に書きましたので見てみてください。
これは日本でもぜひぜひ取り入れてほしい政策です。
税金を、国の未来を担う子どもたちのために使うのは、至極まっとうなことだと思います。
税金の使い方に関心をもって
世界の教育現場は公金を投入して、少人数クラスを実現し、どんどん新しく良い環境に作りかえられて行っているのに、日本は昔とほとんど変わっていません。
最近の日本政府を見ていると、税金の使い方があまりにひどいと言わざるを得ません。
まず、「アベノマスク」と言われた家族の人数にも足りない2枚の布マスクに260億円も使われたのは象徴的です。介護施設向けなども含めると、投じられた費用は500億円を超えます。
最近問題にされている官房機密費は、菅義偉首相が官房長官在任中に支出した総額は86億8000万円にも上ることが赤旗の情報公開請求で分かりました。うち領収書不要で官房長官の裁量で自由に使える「政策推進費」が78億円もあったというのですから、気が遠くなりそうです。
Go Toトラベル事業は、2回の補正予算と予備費を合わせた予算額が約2.7兆円にもなります。旅行に行ける人と旅行業関係者には恩恵がありますが、とても不公平な事業です。
不公平といえば、持続化給付金や、時短営業に伴う一律6万円の協力金なども不公平で理不尽でした。
いろいろな問題や不具合が確認されている新型コロナウイルス陽性者と接触したユーザーへの通知を行うはずの接触確認アプリ「COCOA」は約3億円で発注後再委託。
ところが同じくアプリでも、五輪アプリの開発費はなんと約73億円とか。高すぎでは?
東京オリンピック・パラリンピックの大会経費は、大会が1年延期となったことで新たに2940億円が必要となり、総額1兆6440億円に増えたといっていましたね。実質的な負担分は、組織委員会が7060億円、東京都が7170億円、国が2210億円だそうです。これにコロナ感染対策費などの関連経費を加えると大会経費は3兆円を超えるといいます。五輪招致当時、総額7340億円とされていたのから考えて、予算オーバーしすぎもいいとこです。
2019年の参院選広島選挙区で河井案里氏が当選したことにより、自民党は約6534万円もの政党交付金(杏里氏一人分)を受け取っている計算になるのに、国会で菅義偉首相は「仕組みがない」として返還する考えがないことを堂々と表明しました。公職選挙法違反(買収)で有罪判決が確定し当選無効となったのですから、返すべきお金であることは明白なのにです。原資は税金ですよ!
河井案里被告については、国会に一度も出席しなかったのに給与に当たる歳費や文書通信交通滞在費は毎月受け取り続け、夫婦そろってボーナスまで支給され、逮捕後に支払われた総額は2103万円とも4942万円とも聞こえてきますが、おかしいですよね。これも全部国民の税金です!
選挙当時河井陣営に自民党から他候補の10倍の1億5000万円が贈られ、うち1億2000万円が政党助成金から、つまりこれも国民の税金からです。
総事業費が約1兆円の辺野古埋め立て計画は、軟弱地盤が見つかって「地震で護岸が壊れるリスクがある」と専門家が警告していて、県民投票の結果大多数が反対だったにもかかわらず推し進めています。そればかりか沖縄戦で亡くなった大勢の人たちの遺骨が眠る沖縄本島南部の土砂までも使おうとはひどいにもほどがあります。
すぐに思いつくものを列挙しただけでも私から見て気に入らない税金の使い方がこんなにあります。
学術会議のたった10億円には文句をつけるくせにです。
お金の使い方から学術や教育を軽視する現政権の姿勢が垣間見えます。
その結果は世界の大学ランキングにも表れています。日本の大学の凋落は激しく、英国の教育専門誌タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)の「世界大学ランキング」の最新版(2021年版)では20位には中国の清華大学、23位には北京大学、25位にはシンガポール国立大が入っていますが、日本からは東京大学の36位が最高順位でした。残念です。
「税収というのは、国民から吸い上げたものでありまして」と国会で安倍さんが本音を言っちゃったことがありましたが、こう思っている政治家は彼だけではないでしょう。
税については財源調達の機能ばかりに目が行きがちですが、税金とは本来、所得の再分配機能と、経済安定化という機能を担ってるものです。
そんなこともわからない国民軽視の政治家にはさっさと議員バッジをはずしてもらいたいです。
だから、私は現政権にはNOを突きつけたいと思っています。
国民が目を離すと、長期政権なんて簡単に腐敗します。
政治家を先生と呼んで祀り上げるのもナンセンスです。公僕であることを忘れて自分は偉いと勘違いする政治家が出てきますから。
国会中に居眠りばかりしている政治家に税金で世界的にみても異常に高い歳費を払い続けて悔しくはありませんか?
国民の力で民主化を成し遂げた韓国の人たちのように、日本の人たちももっと政治に関心をもって国政に対する監視の目を光らせましょう。
そして、選挙で真に国民のために働いてくれる賢くて清廉で温かいハートを持った政治家を選びましょう。
参考:ソウル特別市
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