マラウイのオーガニックフェアトレードコーヒー
マラウイのフェアトレードコーヒー
今日は、とても珍しいアフリカのマラウイのフェアトレード認証コーヒーをご紹介します!
ご紹介するのは、コーヒーを飲んで社会貢献までできるというすばらしい取り組みを行っているウォームハーツコーヒークラブのコーヒーです。
マラウイ共和国について知ろう
まずマラウイと言っても、多くの人がぴんと来ないと思います。私もそうでしたのでこの機会に調べてみました。
国名の由来と国旗について
マラウイの正式名称はマラウイ共和国(Republic of Malawi)です。
イギリスの植民地だった時代はニヤサランド(Nyasaland)と呼ばれていましたが、1964年の独立の際、「新たな光をもたらす」との意味を込めて、チェワ語で「光線,炎,反射」を意味する“MALAVI”にちなんでMALAWI となったそうです。
マラウイの国旗は上から、黒、赤、緑の三色になっていて、一番上の黒地の部分に赤い太陽が顔を出しているデザイン。赤は自由のために闘って流した血を、黒はアフリカ人の肌の色を、緑は自然を表し,日の出は独立後の発展を象徴しているそうです。
国土と産業
マラウイは、アフリカ大陸南部のタンザニア、ザンビア、モザンビークの3か国と国境を接する内陸にある緑豊かな国です。南北に長い国で、首都は中部のリロングウェ(Lilongwe)です。南緯14度線がリロングウェのちょうど南を通過しています。つまり、コーヒーベルトにばっちり入っているということですね!
面積は約118,484平方キロメートルで、日本の約1/3ほど、北海道と九州を合わせたほどの大きさです。
国土の5分の1をマラウイ湖という瀬戸内海に匹敵するほどの広大な湖が占めています。ビクトリア湖,タンガニーカ湖に次ぐアフリカ大陸で3番目に大きな湖で、なんと日本の琵琶湖の46倍の大きさというから驚きです。
マラウイ湖は約4800キロあるアフリカ大地溝帯(Great Rift Valley)の南端に位置していて、1984年に南端のマラウイ湖国立公園がユネスコ世界遺産に指定され,マラウイ最大の観光地となっています。マラウイ湖は魚が豊富で、チャンボと呼ばれる魚の料理が有名です。
マラウイ湖は標高475mに位置し、その西側は標高1000~2000mの高原地帯となっています。首都リロングウェ、ブランタイヤ、ゾンバ、ムズズといった主要都市は標高約1100~1300mに位置しています。標高が高いほどおいしいとされるコーヒーノキ栽培によく合いますね。
南部にあるムランジェ山は標高3002メートルで、茶のプランテーションが広がっています。
マラウイは国民の83%が農業に従事する農業国です。タバコ、紅茶、コーヒー、綿、砂糖、ナッツが主な輸出品です。一方、鉱物資源には恵まれていません。産業も乏しく、世界の最貧国の一つに数えられているそうです。
気候
マラウイの気候は熱帯サバンナ気候に属していて、降水量が比較的多く、緑豊かです。年間を通じて温暖で、11月から4月の雨季と、5月から10月の乾季がはっきりしています。また内陸性気候のため、湿度が低く1日の寒暖差が大きいのが特徴です。
人口と民族、国民性
マラウイの人口は1,862万人(2019年)です。ほぼバンツー系民族で、主要部族はチェワ、トゥンブーカ、ンゴニ、ヤオの4つですが、部族間対立はほとんどありません。国民の約75%はキリスト教徒、約20%はイスラム教徒(その多くがヤオ族)で、その他は土着の伝統宗教です。
マラウイは、国土が豊かな自然に恵まれていることと、その温厚で親しみやすい国民性から、古来「アフリカの温かい心(Warm Heart of Africa)」という愛称で親しまれているそうです。
言語(公用語と使用言語)
マラウイの公用語は英語とチェワ語(国語)ですが、他に、ロームウェ語、ヤオ語、トゥンブカ語などの現地語が使われています。
マラウイのコーヒーについて
マラウイはコーヒーベルトに位置していて、標高が高いところが多く、一年を通して温暖で、雨季には降水量も多く、一日の寒暖差が大きいという、コーヒー栽培に最適と言える条件を備えているということが、国土について調べただけで分かってきました。
しかしマラウイのコーヒー生産量は約11000トン、世界37位(FAO,2018年)で、増加傾向にあるとはいえ、それほど多くはありません。また生産量も安定していないとも聞きます。そのため、まだ日本の市場にはあまり出回っておらず、とても希少なのです。
では、今回いただいたコーヒーについてもう少し細かく見ていきます。
コーヒー豆の産地と加工法
コーヒーはマラウイ全土で栽培されていますが、北部は3000ほどの小規模農園が集まって農協に加盟する形、一方、南部は大規模農園が多いようです。
今回いただいたウォームハーツコーヒークラブのコーヒー豆は、マラウイ北部にあるミスク地方の標高2,000メートルの大自然の中で作られているそうです。
農園では、肥料は家畜やバナナなど他の作物の間作によって賄っており、オーガニック栽培を実現しているそうです。
加工は、ムズズコーヒー協同組合が管理するウォッシングステーションで行われます。
農園で収穫したコーヒーチェリーはそのまま加工所に持ち込まれ、新鮮なうちに機械で加工、ムゲーゼ山からパイプでひかれた天然水を使用して洗浄、衛生センターで保管後、乾燥させ、ビジネスセンターに出荷されます。
コーヒー豆の品種
マラウイのコーヒーの栽培品種は、ニャサ、カチモール・ポピュレーションズ(POP)、ゲイシャ、Sアガロ、SL28、SL34、カツーラなどがありますが、今回いただいたウォームハーツコーヒークラブのコーヒー豆の品種はアラビカのゲイシャ種、カチモール種のミックスだそうです。
ゲイシャ種と言えば、パナマのゲイシャが高価なことで有名ですが、実はエチオピアの在来種です。ちなみにゲイシャという名前はエチオピアの地名ゲシャから来ており日本の芸者とは関係ありません。マラウイで栽培されているゲイシャもパナマとは違ってエチオピアの原生種です。ゲイシャは収穫量は少ないですが、フローラルと柑橘系の素晴らしい風味があることで知られています。
カチモールは、ハイブリッドティモール(ハイブリッドチモール)とカトゥーラから改良された品種で、生育が早くて生産性も高く、サビ病などへの耐病性も高い品種です。
コーヒー豆の格付け
マラウイのコーヒーの格付けは上から、AAA、AA、AB、C、PB、E、TTとなっています。ウォームハーツコーヒークラブのコーヒーは上位ランクに位置するAAランクの豆を使用しています。
なるほど、さすがにスクリーンサイズ(豆の大きさ)も大きめだと感じました。
国際フェアトレード認証と4C認証
ウォームハーツコーヒークラブのコーヒー豆を生産しているムズズコーヒー協同組合は、生産者の労働条件や環境基準を守りコーヒーを生産しています。2009年に国際フェアトレード認証、2011年に4C認証(Common Code for the Coffee Community:農園の自然環境や従事する人々の生活を良い状態に保ち、生産と流通のサステナビリティ(持続可能性)促進に取り組む)を取得したそうです。
フェアトレードの制度に基づいてコーヒー栽培、生産を行い、そのプレミアム制度によって、現地の医療、幼稚園、農業教育にも、コーヒーの売り上げの一部が充てられているということです。
フェアトレードについて
フェアトレードとは、開発途上国のコーヒー、カカオ、コットンなどの生産者や労働者と適正な価格で公正に取引をするという貿易の仕組みです。
生産者は、正当な報酬を受けることで生活水準を向上させることができ、安心して品質の良いコーヒー生産に取り組めるようになります。
国際フェアトレード基準では、生産者の持続可能な生産と生活を支えるために必要な「フェアトレード最低価格」が設定されており、国際市場価格がどんなに下落したとしても、輸入業者はフェアトレード最低価格以上を生産者組合に保証しなければなりません。(例えば、アラビカコーヒーのフェアトレード最低価格は1ポンド(約454g)140USセント、有機認証のコーヒーだとさらに30USセント上乗せ保証となっています。)
また、1ポンドあたり20USセントのプレミアム(奨励金)が輸入業者から生産者組合に保証されており、それによって生産者組合は自らで使途を決定して、生産技術の向上や機材の購入、地域の小学校や病院の建設といった社会発展を実現させることができます。
ウォームハーツコーヒークラブの取り組み
コーヒーを買うとき、このような国際フェアトレード認証や4C認証を受けたコーヒー豆を選んで買うことで、途上国の生産者を応援することができることは私も知っていました。
しかし、コーヒーを買うと、その購入金額すべてが寄付され、例えば1000円分購入すると1000円で65人のマラウイの子どもたちの給食を支援することができるという取り組みがあることは今回初めて知りました。
それを行っているのがウォームハーツコーヒークラブです。
100%を寄付に回せる仕組み
コーヒー購入金額の一部でもなく全額を寄付に回せるとはいったいどんな仕組みなのでしょうか。
それは給食支援活動に賛同した複数の企業がウォームハーツコーヒークラブを支援しているから可能なのだそうです。
コーヒー豆の仕入れ、焙煎、包装、配送、これらの全ての費用を支援企業が負担しているので、コーヒーの価格100%がそのまま寄付になるということです。
美味しいコーヒーを買うだけではっきりとわかる形で社会貢献ができるなんていいですね!
なぜ学校給食支援なのか
支援にもいろいろな方法があるのになぜ学校給食なのでしょう?素朴な疑問がわいてきます。
マラウイでは人口の約半分が14歳未満の子どもたちなのだそうです。1994年にやっと小学校が無償化され、入学する子どもは増えましたが、なんと、その半数近くが初等教育を終えることなく中退しているというのです。
子どもは労働力という考えがまだ残っているため、親が学校をやめさせてしまうのです。しかし、子どもにとって豊かな未来を切り開くためには学業は絶対に必要なものです。
学校給食が無料支援されれば、貧しい子どもたちの親が子どもを学校に通わせる理由になります。空腹を満たし、なおかつ教育も受けさせられる、一石二鳥の方法が学校給食支援なのだということです。
ウォームハーツコーヒークラブのコーヒーを飲んだ感想
期待しながら封を開けると、コーヒー特有の何とも言えない良い香りがふわっと出てきました。この瞬間が何とも言えず好きです。
ウォームハーツコーヒークラブでは毎週木曜日に焙煎、即発送を行っているそうです。コーヒーは鮮度が命ですから、焙煎したてが届くのはうれしいですね。
こんがり焦げ茶色のコーヒー豆は、大きめで粒も色味もそろっていて、ざっと見たところ欠点豆は一つも見えず、一目で質の高さがうかがえます。油分がすこし染み出していて、エスプレッソやアイスコーヒーによく合いそうです。
いつものように我が家の働き者グラインダーVARIOで極細挽きにして、シンプルで美しいエスプレッソマシン GAGGIA Classicでエスプレッソを抽出。
初めなので、ちょっと抽出速度が速かったのですが、それでも十分美しいクレマができて感動。
ホットにするかアイスにするか迷って、まずホット、次にアイスを作ることにしました。
ホットを飲んだ感想です。マラウイのコーヒーは柑橘系だと聞いていたので酸味のきいたコーヒーを想像していたのですが、意外にも酸味はそれほど前面に出ておらず、チョコレートのような苦みとのバランスがとれていて、コクがあって味に深みがあり、後味に甘みの感じられる癖のない飲みやすくておいしいコーヒーでした。
酸味が弱めだったのはコーヒー豆の焙煎が深煎りだったからなのでしょう。
アイスで飲むともう少し酸味が感じられました。
私が今日いただいたこの珍しいマラウイのフェアトレードオーガニックコーヒーは、こちらから購入することができます。
ちなみにマラウイは紅茶の産地でもあり、コーヒーと同じく紅茶でも売り上げの100%が寄付に当てられ給食支援ができるそうです。
美味しいコーヒーを取り寄せることで全額を生産地の子どもたちの給食費として使ってもらえるという素晴らしい取り組みだと思います。
購入を検討してみたいという方、気になる方、もう少し詳しく知りたいという方もぜひ覗いて見てください。
参照・出典
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