コーヒーチェリーの構造と5種類のコーヒーの精製加工方法~コーヒー豆イラスト付き - True Vine

コーヒーチェリーの構造と5種類のコーヒーの精製加工方法~コーヒー豆イラスト付き




コーヒーチェリーがコーヒーの生豆になるまでの精製加工法は?

昨日の記事でコーヒー豆の精製加工について触れたので、もうすこし書いておこうと思います。
コーヒー豆は、コーヒーチェリーと呼ばれる赤い実の中に二つ向かい合わせで入っているコーヒーノキの種の部分です。その部分を取り出す方法がいくつかあるのですが、それによって風味が変わってくるのです。

コーヒーチェリー(コーヒーノキの実)の構造

外側から順に
いちばん外側が外果皮(アウタースキン)
その中に果肉(パルプ)
その中にふたつ向かい合って入っている種を取り巻く粘液質(ミューシレージ)
ピーナツの薄皮よりは少し厚めの皮、内果皮(パーチメント)
その内側に薄い皮の銀皮(シルバースキン)
焙煎してコーヒーにする緑色の生豆

5種類のコーヒーの精製加工方法

1.ナチュラル(アンウォッシュド、ドライプロセス)

 

コンクリートやビニールシートにコーヒーチェリーを広げて乾かした後、果肉とパーチメントを一度で脱穀する方法です。
工程がシンプルで施設も必要ないので経済的です。
反面、天日干しの場合、乾燥時間が2週間ほどと長く(人工乾燥の場合は3日)、品質にばらつきがあり、発酵したりカビが生えたりすることもあります。
十分なボディー感と複合的な味、濃厚なコクが特徴で、食欲をそそる味です。マンゴーやベリー系の香りが出ます。
主な生産地はブラジル、エチオピア、イエメン、インド(カネポラ種)、中米などです。

 

2.ウォッシュド

コーヒーチェリーを水槽に入れて未熟な実や不純物を分離した後、パルパー(果肉除去機)で粘液質のついたままのパーチメントの状態にし、発酵槽と呼ばれる水槽に漬けて自然発酵させ(48時間)、粘液質を除去した後、水洗いし、乾燥させる方法です。その後、脱穀機でパーチメントを取り除いて生豆となります。
精製純度が高く、クオリティーが高いので高価な豆によく使われるが、発酵に時間がかかり、水をたくさん使うため近くに水源が必要で、非経済的で、水質汚染の原因にもなっています。
味はすっきりとしていて、香りと味のバランスがいいです。上品な酸味があり、クリアです。
コロンビアやケニア、グァテマラ、タンザニア、中南米などで多く採用されており、コロンビアやケニアなどでは国がシステム化して大規模に行われています。

3.セミ・ウォッシュド

ウォッシュドを簡素化した方法で、発酵槽の工程はなく、果肉と粘液質を機械で一度に除去します。その後乾燥させ、脱穀機でパーチメントを取り除いて生豆にします。
水の使用量が少なく、環境汚染を抑えられる方法です。
風味はウォッシュドと似ています。時間の経過とともにボディー感は失われます。
コスタリカ、ブラジル、中米などで行われていますが、まだ採用しているところは多くはないです。

 

4. パルプド・ナチュラル(ハニー加工)

90年代にナチュラルから変更したところが多いパルプド・ナチュラル。
水槽にコーヒーチェリーを入れ、異物などを分離した後、パルパー(果肉除去機)で果肉を除き、粘液質が付いたままのパーチメントの状態で乾燥させます。その後、脱穀機でパーチメントを取り除いて生豆にします。
ナチュラルよりは高品質で、水もあまり使いません。一方で果肉除去機など初期投資が必要となり、ウォッシュドよりも時間もかかります。
ボディー感があり、複合的な香りと味で、発酵した果実のような甘い味が豊かになります。
ブラジルやコスタリカと、エチオピアでも少し採用されています。

5. スマトラ式

コーヒーチェリーの果肉をパルパーと呼ばれる果肉除去機で除去し(パルピング)、粘液質の状態のパーチメントを一日ほど乾かした後、まだ生乾きのまま脱穀します。半がわきの生豆を再び天日干しにし、水分値を10~11%にします。
雨が多く湿度が高くても、短時間で生豆を乾燥させることができます。
色は青緑色で、味には独特な力強い風味とコクが生まれます。
収穫期が雨季と重なり、湿度の高いインドネシアのスマトラ島でとれるマンデリン(アラビカ種)にこの方法が採用されています。

いかがでしたか?

代表的な5つの精製方法をご紹介しましたが、国や地域によって少しずつ違いがあり、また、改良されて新しい精製方法も生まれていっています。
精製方法を知っていれば、生豆を購入した時もしも状態が思わしくなくても、その理由を推測することもできて少しは慰めになるかもしれませんね。
同じ地域でとれた同じ豆でも精製方法によって風味が全く変わるといわれているので、機会があったら是非飲み比べてみたいものです。





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1件の返信

  1. 2018年10月25日

    […] 称と構造についてはこちら⇒ コーヒー好きなら是非知っておきたい!コーヒーチェリーの構造と世界で主に行われている5種類のコーヒーの精製加工方法 )がパチパチ音をたてなが […]

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